恋ばな!




「あ、リリーさーん!」

『ん?あ、リク君!』


土曜日お昼。

お店がないリリーはある場所に向かっていた。昨日の自己紹介から何故かリクになつかれている。


「散歩ですか?」

『ううん、今日はお店無いからマリアさんの所に行こうと思って。』

「お店…」



【リリーさんはお花屋さんなんだよ!】



「花屋でしたっけ?鉄人兄弟たちが言ってましたよ。」

『うん。ふふ、兄弟たちはよくお店に遊びに来てくれるから…。すっかり遊び場の1つになっちゃったかな?』

「それもリリーさんがいるからですよ。」

『そうかな?だったら嬉しいけど。』


他愛もない会話。
だがその時リクは、


「(常識のある素敵な人だ!!)」


と感動していた。



「リリーさん!俺河川敷でリリーさんみたいなまともな人に出会えて良かったです…!!」

『星と会うたび言い合いしてるもんね。なんで喧嘩が始まるの?』

「(大抵は星のリリーさん話とニノさん話で始まるんだけど…。)なんか、いろいろですよ。」

『そっか。リク君。』

「…なんですか?」

『ニノの事、大切にしてあげてね。』


ふわりと笑うリリーを前に、リクは浄化される気持ちだった。


「当たり前です!どんな事からもニノさんを守ってみせますよ!」

『ふふ、それなら安心だね。それじゃあ、また。暇になったら店に遊びに来てね!』

「はい!」



リリーはマリアの元へと向かった。




ーーーーーーーーーーー




『マリアさん、お久しぶりです。』


昨日、マリアはあの場所にいなかったのだ。


「あらリリーちゃん!帰ってきてたの?」

『昨日帰ってきました!』

「久しぶりね…2週間かしら?寂しかったわ。…シスターもあまり手応えが無かったし…」

『?よく分からないですけど、とりあえずマリアさんにあいさつに来ました。』

「嬉しいわ。変な男とかに声かけられたりしなかった?」

『…私そんなに声かけやすそうでしょうか?』


シスターにも同じ事を聞かれた。


「可愛いから声かけたくなっちゃうのよ。」

『…もう、冗談止めてください。私そろそろ戻りますね。』

「ふふ…また遊びに来てね、リリーちゃん。」

『はい!』


そうして教会に戻ろうとした。


「あ、そうだわ!」

『?なんですか?マリアさん。』

「あなたも無事帰ってきた事だし、お泊まり会みたいなものでもやらない?もちろん、女の子だけでね。」

『わぁ!それ良いですね!やりたいです!!』

「じゃあ女の子たちを誘いに行きましょう。」

『はい!』




ーーーーーーーーーーー




「お泊まり会!?楽しそう!是非ともやりたいわ!」

『じゃあP子も参加!あとは…ニノだね。』



ジャクリーンさんは、

【すごく楽しそうだけど、ごめんなさい。私、ビリーと5m以上離れると死んじゃうの…】

というなんとも反応し難い事を言って断った。





『ニノー』


家の前でニノを呼んだ。


「ん?リリー!呼んだか?」


運良くいてくれた。


「ニノ!これからお泊まり会やるんだって!ニノも来ない?」

「お泊まり会?」

『女の子だけで集まっていろんな話をしたりお泊まりしたりするんだよ!』

「おぉ、楽しそうだな。私も入れてくれ。」

『じゃあ決定だね!場所どうしようか?私は教会に迷惑はかけれないし、お店は花だらけだし…』

「私も今は散らかってるし…」

「私も動物たちの鳴き声が響いてるし…(危ないものもあるし)」









「…なんだ?」





ーーーーーーーーーーー




『じゃあニノ、準備したらそっちに行くね!』

「あぁ、待っている。」


流れで場所はニノの家になった。


皆準備をするために自分の家へと向かう。私は一度教会に戻ってシスターにお泊まりの事を伝えに行った。



『シスター、私今日はニノの家でお泊まりしてきます!』

「お泊まり?二人でか?」

『いや、P子とマリアさんがいます。マリアさんが“私が無事に帰ってきたから”って考えてくれたんです!』

「あのマリアが…そうか、楽しんでこい、リリー。」

『はい!行ってきます!』

「あ、待て。これを持っていけ。」


そして渡されたのはシスターお手製のクッキー。


「これはニノも好きだからな。」

『あ、ありがとうございます、シスター!行ってきます!』

「あぁ。」


元気に教会を出ていった。




ーーーーーーーーーーー




「やっと来たか。」


まさかずっと外で仁王立ちしてたのかな…?


『お待たせ、ニノ。シスターからね、クッキーもらったの。』

「おぉ!クッキー!後で食べよう!」


このクッキーよっぽど好きなんだね、ニノ。


中に入るともう他の二人は来ていた。



「あ、来たわね。これで揃ったわ。」

『お泊まり会なんて久しぶりだ〜』

「いろんな事喋ろう!」



そうして女子トークは止まることが無かった。




ーーーーーーーーーーー




「そう言えばニノ!なんであんなもやし男を恋人にしたの!?」

「リクのことか?」

「そうね、ニノちゃんならもっと良い男が落とせるはずよ。」

「私はリクじゃないと嫌だ!」

「あら!」

『真っ直ぐだね、ニノは…』

「リクといると楽しいぞ。」


『(あ、ニノが笑った顔、初めて見た。)』


静かに微笑んでいるニノがリクのおかげだとするなら、ニノは本気でリクの事が好きなんだろう。



『P子はいないの?』

「え!?私!?私は、いや…」

『もしかして村長?』

「わー!!何で知ってるの!?」

『いや、勘。』

「星ですら知ってると思うわよ?」

「え!?いやー!!そんな、恥ずかしい!!」


両手で隠しても分かるほどの赤。その頬と髪の色がそっくりで、以前彼女が楽しそうに収穫していたトマトを思い出した。



『ふふ…』

「何笑ってるの?リリーちゃん。あなたもそういう話あるんじゃない?」

「そうよ!リリーって好きな人いないの!?」

『え…?いないよ。好きな人なんて。』

「この冷めよう…ほんとにいなさそうね。」

「えぇ?だって星とか、シスターとか!」

『だって星はニノの事が好きじゃない?』

「「星って馬鹿よねぇ。」」

『え、二人ともどうしたのいきなり。』

「んー、星もいつまで意地張ってるのか…あ、じゃあシスターは!?」

『シスターは…お母さんみたいな…』
「ブッ!!」

『マ、マリアさん!?』


いかなりマリアが吹き出した。


「い、いや…、何でも無いのよ…、ぷっ。」

「シスターも大変よね。というか可哀想だわ。」

『え?え!?な、何が?まったく話についていけないんだけど…』

「リリー、私もだ。」


ニノと一緒にクッキーを1つ口に入れた。




ーーーーーーーーーーー




「なんだか眠くなってきたな…」

「そうね…今は…、わ!もう10時だわ!」

『早〜い』

「じゃあそろそろ寝ましょ。寝不足は美容の大敵だもの。」

『そうだね、私も眠たい…』

「じゃあ、寝よっか。ってニノもう寝てる!!」


ベッドの横の引き出しの中に潜り込んで寝息をたて始めたニノ。


「私はベッドで寝るわ。」

『まぁ引き出しで寝ようとする人はそうそういないと思うけど…』


「じゃあ、おやすみなさい。」

「『おやすみ〜。』」



自然にマリアに敬語で話さなくなったリリー。このお泊まり会は終始楽しいまま終わった。



ーーーーー


((はっくしゅん!!))

(…どうしたー?星はともかくシスターまで。風邪か?)

(何ですかね?)

(きっとニノとリリーが俺の噂でもしてんのかな…)

(浮気男だって、話してんじゃね?)

(なんだと?ヒモ野郎!)

(ヒモじゃねぇって言ってんだろ!!)

(リリー…マリアに何か言われてないだろうか…)

 

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