出会いと再会

(リク視点)






俺が河川敷に来て2週間。ここの生活にもだいぶ慣れてきた。


しかし、疑問に思うことが1つある。




「リリーさんって誰だ」




数々の住人からちょくちょく聞く、『リリー』と言う言葉。
会えないだけ余計に気になる。

今は草むらで座って、遊んでいる鉄人兄弟を眺めている。


「なぁ、リリーさんってどんな人なんだ?」

「え?あ、そうか。リクってまだリリーさんに会ったことないんだ!」

「リリーさんはすっごく可愛くて優しい人なんだよ!」

「お花屋さんなんだ!」

「へぇ…」


ものすごくキラキラしている。


「お前らもよっぽどその人の事が好きなんだな。」

「「うん!大好きだよ!!」」


そんなに好きだと胸を張って言えることに、なんだか羨ましく感じた。
子ども特有のキラキラを少し眩しく思う。


「俺も会ってみたいな…」

「ぜっっったいダメだ!」

「うわ!何だよ星」


俺と鉄人兄弟の間に突如として現れた黄色い物体。星は詰め寄ると怪訝な目を向けてきた。


「お前、ニノの次はリリーか!!このナンパ野郎!!」

「違うわ!皆が騒ぐからどんな人か気になっただけだよ。なんだ、星?お前もしかしてその人の事好きなのかよ?」

↑小学生



「は、はぁ!?ち、ちげーし!!俺の好きな奴はニノだっつってんだろ!?リリーだって…、そりゃ、可愛いし一目惚れみたいな感覚に陥ったけど、それだってきっと勘違いで…」


顔を真っ赤にしてマシンガントークを繰り広げる星。


「中学生か」


星すらもこんな風にさせるなんて…





いったいどんな…


『皆ただいま〜』


その声にバッと顔を向けた鉄人兄弟。結構怖い。

星は、「あぁ…、ついにリリーの幻聴まで聞こえてきやがった…」末期だった。



あの人誰だ…?



「リリーさん…?」



リリーさん!?



「リリーさんだー!リリーさんが帰ってきたー!!」

「リリーさーん!!」


勢いよくその【リリーさん】に飛び付いた二人。



『二人とも久しぶりだね』



確かに、可愛い



「リリー…?本当にリリーか!?」

『星!久しぶり!』

「〜っ、リリー!!」


どさくさに紛れて星がその人に抱きついた。
その声に人がすぐに集まってくる。


「リリー!!」

「きゃー!リリー!!」


ニノさんが嬉しそうだ…


『ニノ!P子!』


鉄人兄弟を初めとするいろんな人がリリーさんに抱きつきに行って、ついにその人が見えなくなった。


「ちょっ、その人大丈夫なんですか…?」




「なんの騒ぎだ?」


シスターか。この人が一番重症だったからな…


「あいつらは何をしているんだ…?」


人の山を見てリリーさんだとは気づかないシスター。
まぁ、それもそうだけど。



「シスター、実は 『あ、シスター!』

「!その声…」

『シスター!今帰ってきました!』


人の下から這い出てきてそう告げる彼女。



「リリー…」



シスター、大丈夫なのか…?


『よいしょ…シスター、今帰りました。』


下から出てきてシスターの目の前にやって来た彼女。


「…事故でも起こしたかと思って心配したぞ…」

『どこも怪我なんてしてないですよ。ちょっと届け先が遠かったんです。自転車じゃ大変ですね。』


柔らかく微笑むリリーさんに誰もが注目した。


「リリー、おかえり。」


そう言ってシスターはリリーさんを抱きしめた。

え?抱きしめた?


『ふふ、やっぱりシスターは寂しがり屋ですね。』

「(違うと思いますけど)」


なるほど、星が悩むわけだ。鈍感すぎる。


『そう言えば、知らない方がいますね。』


リリーさんは俺の方を向いて首を傾けた。


「あぁ、リリーが出発して3日後に来たんだ。」

「リリー、こいつはリクルート。私の恋人だ。」

『え…?』

「ニ、ニノさん…!そんな軽く…!」



この人も俺を疫病のナス(P子命名)扱いするんだろうか。



『ニノすごい!ついに恋人ができたなんて!リクルート君だね?ニノをよろしくね。』

「え?あっ、は、はい!!」



えええ、この人はなんていい人なんだろう…。後ろから後光がさしているように見えた。


「オイ!リク!リリーの事じろじろと見んな!!」

「お前はいちいちうるさいな!別にリリーさんはお前のじゃないだろ!」

「う、うるせぇ!!テメェにはニノがいるだろーが!!」

『あはは』


「お、リリー帰ってきたか。」

『あ、村長。はい、今帰ってきました。』

「おう!んじゃあ、お祝いでもするか!P子!酒あるか?」

「う、うん!今持ってくるね!!」

「よし、皆!リリーが無事に帰ってきたらことだし、お祝いだ!!」




リリーさんの帰宅だけでこんなに盛り上がるなんて…
ずいぶんと慕われているんだな、リリーさんは。
俺には少し眩しすぎるくらいに見えた。


「リリー、おかえり!」

『ただいま!』



ーーーーー


(リリー、本当に怪我は無いのか?)

(はい。)

(変な男に声をかけられたりしなかったか?)

(大丈夫ですよ。)

(ちゃんと泊まるところはあったのか?)

(はい。近くの宿に泊めてもらいました。)


(親子か!!)

 

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