短編 | ナノ

 好きすぎて


『星ー!』


満天の星空の下、荒川の河辺でギターをひいていると遠くからアイツが手を振って走ってきた。


「おぉ、名前。俺の歌聴いてくか?」

『うん!そのために星のとこに来たんだよ!』


またコイツはそうやって可愛いこと言いやがる。そして自然に隣座んな!
もっと俺の心臓に優しくしろ!!


「よし、んじゃあお前だけの特別夜間コンサートだ!」

『やったぁ!あ、でもこんな空の下でだからロマンチックな歌にしてね。』

「できるだけな。」




時間的にはそんなに経ってないんだろうけど、でも俺からしたら何時間も経ったような気がする。

歌が終わって、何を話す?何をしたら良い?顔もまともに見れないとか、中学生じゃねぇんだから。

でも会話は無いけど、ただ二人で並んで座って、川に映っている星空を見るのは、


ちょっと良いかもしれない


その光に少し照らされる横顔も、いつも俺に向けてくれる笑顔も、全部、




好きすぎて



(なぁ)
(なに?)
(す…、すす…!き…)
(すすき?いきなりどうしたの?)


(…俺のバカ!!)
 
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