◎ 大切な君だから
今日も青空広がる河川敷。こんな日はあの人が喜びそう。
『あ、やっぱり。』
すぐ見つけることができた。人一倍目立つ彼は呑気にちょうちょと戯れていた。
『そーんちょう』
「お、名前か!今日あったかいよな〜。昼寝日和じゃねぇか?」
『そうかもしれないね。まだ昼じゃないけど』
「だろ?だから膝枕して。」
『だからの意味がよく分からないんだけど。』
「堅いこと言うなって。よっこらしょ」
『あ、ちょっと、勝手に』
お構いなしに膝に寝ころぶ村長。
『(まったく、人の気も知らないで…)』
「なぁ、名前…」
『ん?』
「…ぐ〜」
『寝るの早っ』
村長がいなければずっこけるところだが、それは抑えてため息を吐く。
『しょうがないな…』
それからはおとなしく村長を観察していた。このスーツは着ていて暑く無いのかな。
一体脳内はどうなってるんだろう。P子が熱烈なアピールしても気付かない鈍感だし。私が熱を帯びた視線を送っても気付かないし。
よく考えると好きになった理由が思い出せないや。
『ふぁ〜ぁ…』
ずっとうとうとしていたら、ついに意識が無くなった。
ーーーーーーーーーーー
『…あれ』
寝てしまったと思ったら、草むらではないものに頭が乗っかっていた。
「ん?起きたか〜?」
視界の斜め上に緑色が映って、
『え…、そ、村長…?』
整理すると、私は、村長に膝枕をされていたのである。
「んー。俺が起きてもお前寝てるしよー。」
『だっ、だからって膝枕しなくても…。起きなかったらそのままほっとけば良いし…』
「そんな事するわけにいかねぇだろ。好きな奴その辺にほっとく男なんていねぇよ」
『………はぁ!?!?』
大切な君だから(よし!素潜りでもしてくるかな!)
(あ、ちょっ、言い逃げすんな!!!)
back