『シスター、トリックオアトリートです！』


10月31日、夜。
教会に遊びに行った名前は有名なセリフをシスターに言った。


「……？」


シスターはきょとんとしていた。


『今日はハロウィンですよ！』

「あぁ…もうそんな季節か。…ほら。」


どこにあったのか、目の前に出されたのはシスターお手製のクッキー。


『やったー！ありがとうございます！』


さっそく一口食べる名前。


『美味しいです！』

「名前」

『はい、なんですか？』


「トリックオアトリート。」


『え？』


思いもしなかったシスターからの言葉。


『…え、』


そっと差し出したのは先程もらったクッキー。


「それは私が渡したものだろう。」

『な、なにも持ってないです…』


お菓子どころか、まったくの手ぶらでやって来たのだった。


「そうか、お菓子が無かったら何をするんだったかな……。」

『知らないんですか…』


少しだけホッとした。



そう思ったのもつかの間、



『！』



いきなり額にキスをされた。


『な、…な、』

「イタズラ、だったか？」


シスターは意地悪く笑った。




Happy Halloween!


(外国にいた頃は嫌でも耳に入るからな。)
(くっ、本場…！)
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