2日目




今日は河川敷の通行量を調べようと思う。
昨日社長に言われたとおり、あの黄色い星の人には気を付けるようにしよう。


『まさか社長に恋人がいたなんて。美男美女で羨ましい限りだ…。高井さんが先日から元気が無かったのはこのせいだったのかな。』


高井さんは先日から行様抱き枕と共に夜を泣き明かすようになっていた。


『さてと、…ってなにこれ?』


ある程度歩いた先にあったものはこの場に似合わない教会。


『まさかこんな建物があったなんて…。』


思わず見惚れていると正面ではなく脇にあるドアがいきなり開いた。


「もう分かったから、ほら出てけ。」

「シスターなら恋に悶えるこの気持ちが分かるだろ!?」

「分かりたくないな。」


ドアから出てきたのは2mはあるであろう大きな人と、


「ん?…あーー!!名前!シスターこの子だよ!可愛いだろ!?」


人に指を指しながら大声をあげた、例の、


『星さん……。』

「俺のこと覚えてくれてたんだな!こいつは脈ありだ、な!シスター!」


シスターと呼ばれた人は同情を込めたような視線を送ってきた。


「…私はシスターだ。なにかあったらこの教会に逃げ込んでくればいい。」

『名字名前です。ありがとうございます、是非そうさせてもらいます。』


いい人に会えた、としみじみ思っていると横から邪魔が入った。


「名前、今からデートしようぜ。」

『仕事がありますから。』

「リク!!有休とらせろや!!」

『では私はこれで。』

「早い!帰るの早い!そうだシスター、名前も交えて懺悔室で相談しよう!」


その瞬間シスターはいかにもめんどくさいような顔をした。


「よし、そうと決まれば行くぞ!」

『仕事があるので。』

「質問するだけだって。それ終わったら今日はもう良いから!な?」


そう言ってずるずると名前の腕を引っ張って今出てきた扉を戻っていった。






―――――――――――――






「シスター、嘘があったらすぐ指摘してくれよ。」

「……(めんどくさい…。)」


なんでもシスターさんは嘘を見抜けるそうな。


「はい、じゃあ名前はリクのなに!?」

『部下です。』

「俺とリクだったらどっちが好き!?」

『もちろん社長です。』


「…俺のこと好き?」

『普通です。』

「…なんで付き合ってくれないの?」

『仕事が大事なので。』


「……なんか虚しくなってきた。」

「彼女は嘘はついていないぞ。」

「分かってるから余計悲しいんだよ!」


「……はぁ、…名前。」

『はい。(ここの人たちはなぜ初対面で名字を呼ばないんだろうか…。)』

「なにも好きとは言わないが、嫌いなやつとはこんなことしないだろ?」

『…まぁなにも、面識もない人から質問されても無視しますよ。』


「!…ってことは俺は多少は仲良しってことだな!?」

『…そう、なんですかね?』

「よっしゃあぁぁあ!やっぱ脈ありだ!!」


一気にテンションをあげた星。


『(脈ありじゃないんですけど…)では質問はこれで終わりで良いですか?』


「待ってくれ!!」



ドアノブに手をかけた時、後ろから制止の声。



「名前、最後に一ついいか!?」

『なんでしょうか。』


シスターも静かに二人のやり取りを眺めた。









「スリーサイズってどれくら」バキッ!!







自分が持っている全ての力で星を殴り、今度こそ部屋を後にした。





(星、今のはさすがの私でもひく。)
(なんでだよ!?)




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