1日目
『……は』
名前はある一点を見つめ、すっとんきょうな声を漏らした。
高井に指示されて向かった場所、今の市ノ宮行の住まい、高台である。
取り敢えず何メートルもある梯子を上って、ドアをノックした。
コンコン
「はい、どちら様……、って名字!?なんでここに…」
『社長お久しぶりです。高井さんから社長の開発を手助けするように、と言われて一週間この河川敷を視察することになりました。』
その言葉にリクは頭を押さえてうなだれた。
「(…こんな嘘に名字まで巻き込んでしまった……、せめてあいつらの毒牙にかからないように守らないと……)」
『社長?』
「あぁ!いや!なんでもない!ただこの辺は物騒だから、不審者(住人)には気を付けるんだぞ!」
『はい』
なんて親子のような会話をしてから名前は下に降りた。
―――――――――――――
『よく見るとここに住んでいる人って結構いるのね…。挨拶周りって行ったほうが良いかしら…』
軽く考え込んでいたとき、
「おっ、お前の服リクのに似てるな。リクの友達か?」
さらさらの金髪の女の子が両手に魚をわしづかみにしながらやって来た。
『リ、リク、とは?』
「リクはリクだ。私はニノ。お前は?」
『あ、申し遅れました。私は名字名前といいます。』
「そうか、名前魚食うか?」
片方の魚を差し出された。
『いえ、結構です。』
そのあとは、金星がどうたらこうたらという話をしてからニノは去っていった。
名前も調査のためにいろんな場所を見て回った。
―――――――――――――
『さて、調査と言っても何から調べるべきか……。』
準備に取り組み始めた名前。
そこにある男が通りすがった。
「ん、誰だ?この前来てたリクの部下か…?」
さっきまで河原で寝ていた星。
「なにしてんだ…?………ッ!!」
彼女の顔をちらりと見た瞬間、星の中に衝撃が走った。
「ROCKだ……!」
星は確実に、彼女に一目惚れしたと実感した。
ダダダッ
「なぁ、あんたってリクんとこの部下か?」
ビクッ『?……リク?』
いきなり走ってきた謎の物体に引きつつ、対応する名前。
「あー、んっと、なんだっけ。いち…?」
『市ノ宮でしょうか?』
「そうそう!それ!あんたそいつの部下なのか?」
『はい。市ノ宮行様の下で働かせていただいている名字名前です。あなたは社長のご友人でしょうか。』
「友人!?んなわけあるか!あいつは敵だ敵!」
『はぁ…』
「それと、この橋の下でのあいつの名前はリクルートってんだ!まぁ、ニックネームみたいなものだと思えば良いと思うぜ!」
『ご丁寧にご教示いただきありがとうございました。それでは私は仕事に戻るので…、』
そのまま向こうに行こうとする名前の腕を慌てて掴んだ。
「ちょっ、ちょい待ち!本題入るぜ!」
『なんでしょうか』
「俺の名前は星!あんたに一目惚れした!付き合ってくれ!」
あまりの必死さに名前は思わず身を引いた。
『申し訳ありませんがお断りさせていただきます』
「!………いや、諦めねぇ。俺は諦めないからな!!」
そう叫びながら星は走り去っていった。
『……彼が社長の言ってた不審者なのかな…』
↑正解
(不審者に目をつけられました。)
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