0日目


カチャカチャカチャ、とパソコンのキーボードを打つ手を止めた。


『荒川河川敷開発…ですか?』


イスごと体を後ろの人物に向ける彼女は名字名前。
リクルート、もとい市ノ宮行の会社Goesの社員である。


「そう、以前から行方が分からなかった行様は荒川を利用した発電ビジネスという偉大な開発に取り組んでおられたのだ!」


名前の前で熱弁するのは市ノ宮行の秘書、高井。


『社長見つかったんですね、良かった。』


そう言って名前はパソコンの【社長居場所推定マップ】というファイルを削除した。
見つかったんですね、と他人事だが名前が居場所をパソコンで推定して割り出しことは大きな功績である。


「いやいや、名字の仕事ぶりには驚かされますな。」


高井は感心したようにメガネの位置を直した。


『それで、なんでしたっけ。その河川敷開発がどうかしたんですか?』

「そうだった。私と島崎でも足りると思うが名字がいれば行様の企画は100%確実になる。そこでだ!」

『はい』

「名字も行様に協力すべき、ということで明日から一週間河川敷に行って調査してきてくれないか。」


名前は少し考え、




『社長のお役に立てるなら。』




とパソコンの電源を切った。




(彼女の忠誠心は高井に負けず劣らず)




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