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家族予想図





店へと戻るために、自転車を押して河川敷を歩くリリー。


「お、リリーじゃねぇか。配達帰りか?」

『村長。』


その途中でボーっとしている村長に会った。


『今日届けた花、バラの花束だったんですよ。』


歩みを止めて2m程先にいる村長と向き合う。


「バラ?あ、隣来いよ。」


自転車を置いて村長の隣に座った。


『彼女さんへのプロポーズだそうです。』

「へぇ〜、今時そんなキザな事する奴いるんだな。」

『どこに感心してるんですか…。結構若い人でしたよ。』

「フッ…、世間の厳しさを分かってねぇな…。」

『あなたに言われたくないと思います。』



「そいつ喜んでたか?」

『はい。それと同時に緊張してましたけどね。』

「そっか、良かったな。」

『ふふ、こっちも嬉しいですよ。』



「プロポーズねー。リリーは結婚とか考えた事ねーのか?」

『結婚かー…。あんまり想像つかないですね。』

「ここの奴らじゃ誰か候補はいるか?例えばシスターとか。」

『シスターは…、面倒見の良いお母さん、って感じです。』

「あー……、…うん。他いるか?年近い、ったら星とかー…、リクとかか?」

『リクは自然に除去ですよ。』

「まぁ、そうだな。」

『星はお兄ちゃんって感じですかね。』

「ほー……。(…どいつもこいつも報われないな。)」


『後は…、』

「俺とかは?」

『え?村長?うーん…、…村長はお父さんです。』

「俺お父さんか。」

『ですね。』

「って事は俺の奥さんはシスターか。」

『あはは!そうですね!子供が私と星と鉄人兄弟で。』

「うわ……」

村長はあからさまに嫌そうな顔をした。


『ふふ…、でもピッタリなんだよなぁ…』

「リリー。」

『ん?なんですか?』

「お前もだいぶ自然に笑うようになったな。」

『え、あ、そう…、ですね。』


へらっと笑うと村長も笑い返した。


「ここの奴らを家族って思うようになっただけで嬉しいぜ。」


そう言って村長は頭をポンと撫で、その場を後にした。


「暗くなる前に帰れよー。」


リリーは頭を抑えながらゆっくりと立ち上がり、少しだけ照れ笑いを浮かべた。



家族予想図



(リリーさん、僕たちの事家族だって…!)
(俺…、兄貴……、)
(私は、母親……、)
(面倒だからここでしょげんな!)

(オイ、何覗き見してんだお前ら。)


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