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心配症



彼が甘えてくるところを見たことがない。

付き合って、同じ教会に住んでいるにしても一緒に寝たことさえも無い。

シスターは本当に私の事が好きなんだろうか。



「ごちそうさまでした。」

『…ごちそうさまでした。』


いつもと同じ夕食が終わり、シスターと私は寝る準備に入った。


『シスターおやすみ。』

「ああ。」


自室へ入るシスター。
私には一緒に寝ようなんて言う勇気は無い。

だから、










河川敷が静まり返った夜、私はそっとシスターの寝ている部屋に行った。
音を立てないようにシスターの寝ているベッドに寄り、近くにしゃがみこむ。


『寝てる…のかな。』


綺麗なシスターの顔にそっと手を伸ばす。
だがその手はシスターに触れる前に掴まれてしまった。


『っシスター、』

「こんな堂々と夜這いか?」


その瞬間グイッと引っ張られ一瞬体が浮き、
気づいた時にはシスターのベッドの上に押し倒されていた。


『ち、ちが、そんな生々しい事じゃなくて…!』

「だったらなんだ。」

『いや、だからその、首舐めるのやめてください。』


首元に顔を埋めるシスターをなんとか抑え込む。


『その、ね。たまには一緒に寝たいな、なんて…。』

「…」


そう言うとシスターはつまらなさそうな顔をした。


「なんだそんな事か。」

『そんなって…、』


目を細めたシスターは手際良く私の寝間着を脱がしていく。


『ちょ、ちょ、なにして…!』

「私の睡眠時間を邪魔したんだ。それなりの代償を払ってからにしてもらおうか。」

『や、やだよ!そもそもシスター熟睡なんてしないじゃない!』

「うるさい」


その声と同時に鎖骨に噛みつかれた。


『いたいっ、私は純粋に寝たくて…!』

「そんなの後付けの理由だ。」


下まで脱がしそうなシスターに、次第に涙が出てきた。話聞けよぉ…!!



「…なに泣いてるんだ。」


シスターは動作を止めて顔を見た。


『だっていつもこうじゃんん…!今まで恋人らしい事もして無いし、ほんとに付き合ってるのか分かんないよ!シスターなんて私のことどうせ性欲処理とでも思ってるんでしょ!!……っうぅ』


そこまで言ってさらに悲しくなって、後は子供みたいに泣いた。この野郎…!


「私が本気でお前をそんな風に見てると思っているのか。」


開いた瞳からは涙で滲んだシスターしか見えない。


「心外だな」


唇に当たる柔らかい感触と、額にかかったサラサラの髪の毛。ああ、キスされたんだなとぼんやり思った。








こんなにも愛しているのに








最後にシスターが何か呟いた。

でもすっかり泣き疲れた私はそこで寝てしまったのだ。




















目が覚めると見慣れない部屋。


『(シスターの部屋…、そっか…あのまま寝ちゃったんだった。)』


部屋の主であるシスターを探すと、私と背中合わせにベッドの隅で寝ていた。そのシスターは今度こそ寝たフリではなさそうだ。

起こさないように、朝食を作るためベッドから降りようとする。


パシッ

『!』


またしても腕を掴まれた。


『シスター…?』


目が合ったがどうもふわふわしてる。


『寝ぼけてる…?』


昨日と違いゆるゆると引っ張られ、シスターは私をこれでもかというくらい抱きしめてピクリとも動かなくなった。
頭の上から寝息が聞こえる。


『(そういえば前に言ってたっけな…)』


(私が気を緩めて寝るのは名前がいる時だけだ。)


こんなあどけない寝顔が見れるのも私だけなのだろうか。


『ごめんね』


さらさらした金色の前髪を撫でて、そのまま二度寝した。



心配症


(なんか腕が上に上ってきた…、シスター起きてるでしょ。)
(……)
(無言で胸触らないでください。ねぇ恥ずかしいんでしょ。寝ぼけて私を抱きしめたの、恥ずかしいんでしょ。)
(……)


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