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目の届くところにいて


「じゃあ出かけてくるから。」

『うん、いってらっしゃい。』


私は現在星と同じトレーラーで生活している。

そんな星は今日お買い物に。
私も誘われたが男物の服屋にしか行かないらしいので断った。


『私も外に遊びに行こっかなぁ。』


腕をうん、と伸ばして伸びをする。
そして飲みかけのカフェオレを飲み干して、外に出た。






ーーーーーーーーーーーーーーー






「あ、名前さーん!今日は星さんと一瞬じゃないの?」

『あぁ、鉄人兄弟。星はお出かけしにいったよ。』


そう言った瞬間、鉄雄と鉄郎の顔はパァと輝いた少年らしいものになった。


「今お風呂沸かしてるの!ニノちゃんの次だけど入る?」

『あ、いいね。入りたいかも。』

「じゃあ行こ行こー!!」


手を引っ張られて連れて行かれるとそう遠くない所でニノがドラム缶風呂に浸かっていた。


「名前か」

『湯加減どう?ニノ。』

「ああ、今日は外も暖かいからちょうど良いな。リク、もうあがるから待ってろ。」

「へぇッ?あっ、はい!」


ドラム缶の影になって見えなかったが近くにリクもいるようだ。リクは川の方を向いているがずっとそわそわしている。


「ミッションコンプリート」


ザッとあがったニノはいつものように華麗なタオルさばきでアウトな部分を見せない形で早着替えを済ませた。


「さあ名前入れ。」

『うん。じゃあ、』


ニノには負けるがこそこそ上手い具合に服を脱ぎお湯に浸かる。


『あ、ほんとだ良い湯加減。』

「なぜここの女性陣は抵抗もなく着替えて野外風呂でゆったり出来るんだ…」というリクの呟きは聞き流すことにした。



ニノとリクがいなくなってしばらくするとシスターと村長が歩いてきて、私の存在に気付いたようだ。


「おー名前、ビバノンしてるか?」

『よく分からないですけど良い湯加減ですよ。』


村長が一応気を遣ってか一歩離れたところから話しかけてくる。


「星はいないのか?」

「星さんお出かけなんだって!」「だって!」


いつも私の取り巻きのようにくっついている星がいないのでシスターは不思議がって見渡した所鉄人兄弟が答えた。


「なるほど、ゆっくり浸かっていられるのもそのためか。」

『はい?』

「めんどうな男に捕まったもんだな名前も。まあ頑張れよ!」

「じゃあな、風邪引くなよ。」

『はい?あぁ…はい。』


手を振りながら2人は囲碁でもやるのか教会へ向かった。



そろそろ出ようとした時、


「名前殿でござるかー?」

『そうだよー。』


遠くの方からラストサムライが小走りで駆け寄ってきた。
ニノのように異性の前でも堂々と着替えることが出来ないので、あがろうと思っていた体はもう一度湯の中に沈む。


「カットの練習をしていたのだが根を詰めすぎたので休憩がてら散歩していたのでござる。」

『あぁ〜髪ね、切ろうかなーどうしようかなー。』


前髪の毛先をいじる。


「伸びたでござるか?」

『多少は…』


髪は長いのかそうでもないのか濡れていてよく分からない。


「失礼」

『お、っわ』


スッと伸びた手は髪に伸びて行き中指と人差し指で前髪の長さを測るように掴んだ。


「そうでござるな…目に入るのは避けたいから、そろそろ切った方がいいと思うでござるよ?」


うんうんと頷くラストサムライにそうかぁ、と驚きのあまり腑抜けた声しか出なかった。


「では拙者はこれで!カットなら店に来てくだされ!」

『うん、ありがと。』


いなくなっていくラストサムライの背中を眺めながら風呂からあがろうと思っても体が動かない。


「名前さん?」

「え?…うわぁっ、名前さん大丈夫!?」


切羽詰まった鉄人兄弟の声をバックに視界はフェードアウトしていった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






目が覚めると、体は完全に横になっていた。






「起きたか?」




目をずらすといつものごちゃっとしたトレーラーを背景にした星。

自分の首には濡れタオルが巻かれていて、起き上がった拍子に寝ていたベットに落ちた。


「のぼせたんだろうよ。ほら、水飲め。」

『う、ん…』


なぜ星が?とかどうして私はトレーラーに?とか聞きたいことはあったが取り敢えず差し出された水を飲んだ。


「帰ってきたら名前いねぇしよ…探してたら鉄人兄弟が騒いでるから近寄って見たらこれだよ。」


多少不機嫌気味、というよりすねている感じの星は床に座り込んだ体制からベットに頬杖をつきながら言う。


「お前なぁ、心配させんなよな。」


ぐしゃぐしゃに髪を撫で回された。
頭を撫でられて下を向いたのだが服を着ていることに気付く。


『この服…星の?』

「ん…?あぁ、タオル巻いたまま寝させるのもな…て思って。」

『星が着せたの』

「しょうがねーだろ結構必死に着せてたから変なことしてねーぞ。」


顔を赤らめながら言う星。


「で、なんでのぼせたんだよ。体調悪かったのか?」

『ん…や、長話し過ぎたせいかな…。』

「長話?」

『うん、みんなが通りかかって』


そう言った途端星の顔はキッと眉を吊り上げ一気に不機嫌そうになった。


「誰」

『え?』

「誰々と?」

『ニノリク、シスター村長、あとラストサムライ…かな』


指折り数えると星は口をぱくぱくさせて怒っているのか体を震わせた。


「おまっ、お前な!お前…っ、…っあ〜もうほんっと…!!」


顔を覆ってひたすら唸っている、と思ったら顔をバッと上げた。


「俺がいない時に風呂入んな…」

『星の目の前で入らないといけないってこと…?』

「いやだから、ガッツリ見ねぇよ!監視役として俺をつけた状態で風呂入れって言ってんの。」

『なんでそんな』

「だからー……あー…だってそりゃ、さぁ…。普通彼女の裸他の奴に見られて平気なのっていないだろーが、」


恥ずかしいのか手で顔を隠しながら星はぼそぼそと言った。


『あぁ、』

「あぁ、って…。分かったのか?」

『うん、星がヤキモチ妬いてるの可愛い。』

「この野郎」


星は身を乗り出して少し笑っている私の口に噛み付くようにキスをした。




目の届くところにいて


(名前さん昨日は大丈夫だった?)
(うん、体調も治ったしバッチリ。)
(良かったぁ!星さん凄かったんだよ、名前さんのこと一気に抱き上げてすごいスピードでトレーラーに戻って行ったの!)
(すごい顔だった!!)
(面白かった!!)

(オイコラ鉄雄鉄郎!!なに人の顔笑ってたんだ!!!)
(…ふふ)
(名前までなに笑ってんだよ!笑い事じゃなかったんだぞマジで!!)
(うんうん、ありがと)
(…はぁ)


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