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懺悔します





「リクよ、聞いてくれ。」


ある日のこと、シスターに懺悔室に来るように言われたリクはそこで面倒事に巻き込まれた。



「私は嘘をついてしまった。」













「いや知らんですし、なんで俺が懺悔される側なんですか。普通シスターが聞くほうでしょう。」

「そんなことより、取り敢えず聞いてほしいんだ。」

「俺の苦悩をそんなことで済ましたよこの人。……はぁ、で?何の嘘ですか?」


対面して座っているシスターの影が濃くなった。


「名前に…、マリアが好きなのかと聞かれたんだ。」


名前とはシスターが絶賛片思い中の人物である。と言っても、周りから見ればお互い好きあっている事がバレバレなのだが。


「おぉ。それで?なんて答えたんですかっ?」


突然の恋バナに、リクは少なからずテンションが上がっていた。

「………とっさに、知られたくないと思って…………そうだ、と…。」

「はぁ!!?なんて誤解を…、それでいて普通にリアルな答えじゃないですか!!」

「私は罪を犯してしまった…。」

「シスター、それはマズイですよ!それで、名前さんはどこ行ったんですか!?」

「P子の所に遊びに行くそうだ…。」

「なっ…!よりによってP子!
(きっとP子はその事を河川敷中の女子に言うに違いない…!早く名前さんの誤解を解きにいかないと!!)」

「あぁ神よ…、嘘をついた私をお許しください……。」

「ほら、シスターも行きますよ!」


教会の外に出るように促した。






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「かと言ってもいきなり突入するわけにもいかないしな…。…ん?」


二人でそれとなく川原を歩いていたとき、前方から小さな影が走って来た。


「「シスター!」」

「鉄雄に鉄郎、それにステラまで…、どうした?」

「いくらシスターでも名前を泣かすのは許さんけん!」

「!……名前は泣いているのか?」

「「いや、泣いてないけど。」」

「泣いてないんかい。」



「あ、リクさんいたんだね。それよりシスター、早く名前さんの所に行ってあげて!」

「お前らもずいぶん俺の扱いが存外になってきたな。反抗期か。」

「しかしだな…、」

「ほら、早く早く!!」


小さな手に引かれたシスターはされるがままだった。






ーーーーーーーーーーーーーーー






「……入らないと駄目か。」

「「ダメ!!」」


場所はニノの家の前。ステラの話によるとニノの家に女子軍が集結したらしい。


「シスターきっぱりと誤解をといてください。あわよくば気持ちも伝えたほうが良いですよ。」

「…そこまでしないと駄目か?」

「駄目です。良いからほら、行ってきてください。」


シスターはそっと入り口のカーテンに手をかけた。


「……名前、いるか…?」

「わっ、ビックリした!シスター、何しに来たの!?」


入り口付近にいたP子に思い切り驚かれた。


『え、シスター?』


その後ろにはニノとマリアに囲まれている名前がいた。


「(名前さん意外と平然としてる…。)」

「(リクさん、邪魔しちゃダメだよ!)」

「(しないよ!)」

『どうしたのシスター?私に何か連絡でもあった?』

「名前、下がっていなさい。この馬鹿と話す必要なんて無いわ。」


名前のほうへ向かおうとしたとき、マリアが立ちふさがった。


「…マリア、どいてくれないか。」

「あら、あなたに喋る資格があるのかしら。」

「……マリア」

「例え嘘でも私に気があるとかなんとか言われて、こっちも腹立ってるのよ。吐き気がする。」

「ぐっ……、」


シスターの古傷から血がにじみ出す。


『(二人ともなんの話してるの?)』

「(全部名前に関係する話よ。)」

『(全然分かんない…。)』

「(まったくしょうがないわね…。)マリアー、そのへんにしといてあげて。」

「…………名前に変なことするんじゃないわよ、変態。」


P子はシスターの目をジッと見てから皆を連れて外に出た。


「女は怖いな。」

『え?え?私ちょっといまだに状況が把握できない…。』

「名前に話があるんだ。さっきの…、その、……マリアが好きかどうかという話なんだが、」

『うん、知ってたけど確認したかっただけなの。昔からマリアのこと好きだもんね。』

「いや…、違うんだ。ついそうだと言ってしまったんだが、今はマリアのことはなんとも思っていない。」

『……だったらなんで?』

「……………もうはっきり言うが…、…私が好きなのはお前なんだ。」

『え?』

「名前のことが好きだ。」

『ほ、ほんとに…?』

「あぁ、だから誤解しないでほしい。私が好きなのはマリアじゃない。お前だ。」

『わ…、うわぁ…!凄く嬉しい…!私もシスターのこと好きだよ!』

「そ、そうなのか…?」

『うん!』


少し混乱する頭をなんとか働かせながら、取りあえず名前を抱き寄せた。


『あ…、えっと、シスター……』

「嫌か?」


愛しいものを見る目で名前の頭を撫でた。


『ううん!嫌じゃないの、嫌じゃないんだけど…、……………後ろ、皆見てる……。』

「!」


はっとして後ろを振り向けば、入り口から覗く無数の人影。


「あっ、シスター気付いちゃったわ!」

「撤収だ〜!」

「リク、魚釣りに行くぞ!」

「え?あ、はい!」


バタバタと足音が聞こえなくなる頃には二人はすっかり離れていた。



懺悔します


(シスター耳、赤くなってる。)
(お前だって顔中真っ赤だぞ。)

(ニノさんちでイチャつくな…!)
(リクさん、邪魔しちゃダメだよ!)


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