短編。 | ナノ





拓蘭。
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『愛ゆえの欲?欲ゆえの愛?』









君に好きと言われる度に、

自分が死んでいく。




…………………………



お前もか。

もしかしたら、お前だけは違うと思っていたのに。



「…すきなんだ」


神童が切羽詰まった顔をして、俺を抱き締める。


耳許で囁かれる愛に抱くのは、純粋な嫌悪。


どうせ、俺を女の代用品としか見てない癖に。


すきだなんて、白々しい。

その無垢な瞳の奥の奥に、欲望が渦巻いている事くらい、わかってるんだ。



神童、お前もだったんだね。


あの低俗で下劣な連中と。

愛とかいう、絶対的善意を盾にして、


欲の捌け口にするんでしょう?


俺、そこら辺の女子より可愛いもんね。


面倒な避妊も要らないし、

道具としては、上等ってトコですか御曹司様。



神童は、

俺が神童の頼みを断れないの分かってて、

やってるんだよね。


最低。


虫酸が走るよ。





「ねぇ、神童は俺を抱きたいの?」


ほら。


本音、吐いちゃいなよ。


その純情な顔した仮面、引き剥がしてあげる。


「…っ!?」


一瞬、神童の腕の力が増した。


同時に、唾を飲み込んだ音が鼓膜を弾く。


あは。

図星だね。


その反応。




「いいよ、抱いても。」


「えっ…!?」


「その代わり。ひとつ、お願い」


そこで初めて、神童の背中へ腕を回す。

指の先端が皮膚に食い込むくらい、強く抱き締めた。


「愛ってなにか、証明してよ」






……………………



行為そのものを愛だとほざくなら、



俺は君にさらに


幻滅だ

















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