短編。 | ナノ





儚い雪、拙い雨
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「先輩のキャプテンへの想いは、雪みたいですよね」




突拍子もない言葉に彼は困惑したように俺を見詰めて、


「雪…?」


そう呟いた。











そう、雪。

白くて綺麗な、綿雪。

一見軽くて、柔らかいのに

心にどんどん降り積もるソレは、重味を増し、いつしか凝固して確かな硬度を示し始める。


苦しいのに
あんたは優しいから

想いをぶつけられずに、1人で抱え込んで苦しんでる。





「俺のね、あんたへの想いは雨ですよ」





積もること無く垂れ流し。

優しいあんたに
想いを容赦無く浴びせて


俺の言葉は
鬱陶しい雨粒みたいだ。



みっともない、ね。





でも、



「…ねぇ、先輩。雨は雪を溶かすんです」





ほら、外、見てみなよ。



昨日積もった雪が、
雨に打たれて溶けていく。







「溶けた雪は、水溜まりで雨と一緒になります」









俺の雨で

中途半端に濡れた体は、


気持ち悪いでしょ?





はやく、

強情張ってないで、











とけちゃいなよ、先輩。


完璧に。
俺に。

幾ら頑なな心だって、穿ち続ければ穴が空く。

俺はそう信じてる。







隣の彼の、手を握り絞めた。


顔を見れば、


目の自由を奪う、余りに綺麗な翡翠色の瞳。





張り詰めた空気の中、雨音が響く。





あぁ、

雨が降っている。






お陰で、時が止まっていないんだと確証を得た。






「ねぇ、先輩」







あぁ、なんだか、
窒息してしまいそう。


雨に、溺れてしまう。


溢れ返った君への想いに飲み込まれる。










「先輩の気持ち、俺がとかしてあげる」












まるで、


見計らったようかのに、
強くなった雨足。

















儚い雪、拙い雨
(今のままじゃ、誰も報われない)
















……………………………

あとがき


雰囲気でよんでください…

一方通行好きです

















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