少し未来の話
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手を取られ、指が絡まってくる。
控え目だけど、確かな力。
右隣に座る君の顔色を伺うと、かつてない程、真剣な表情。
茶色く染まった瞳が、俺だけを見ていた。
底光りする強い眼差しに射抜かれて、
逃げるように、視線をおとす。
視界に入るのは、繋がれた2つの手。
自分と相手の手の大きさに、思った以上の差があって、
あれ?
神童って、こんなに、大きかったっけ?
思わず、困惑。
誤魔化すみたいに、作り笑いを浮かべた。
何を誤魔化したのかって?
神童の手が大きくてときめいた事。
とか、言えるかよ。
余りに自分が女々しくて。
ふいに、抱き締められる。
耳元で響く、君の優しい声。
「…霧野、こわいのか?」
怖いなら、また、今度でもいい。
神童はそう続けて、俺の言葉を待つ。
沈黙。
呼吸も憚られるような静寂。
そんな中に、
だんだん、
心臓の音が、でしゃばってくる。
「神童、違うんだよ。ただ…」
いつまでも、
無垢な子供のままじゃいられないんだなぁ。
って、
思っただけ。
「好きなんだ…神童が、本当に」
心拍数は、俺を急かすように上昇してる。
抱き締められた温もりに、恐怖なんか微塵もない。
もっともっと、君に触れたい。
もう、俺達は戻れないよ。
だって、
親友は、こんなことしないじゃないか。
ずっと前から、
俺達は親友の振りを続けていただけだったんだよ。
「絶交しようか神童」
そして、新たな絆を結ぼう。
少し未来の話
(親友ごっこに、終止符を)
…………………………
あとがき的なもの。
拓蘭でR15くらいの書きたくて、その前置きとして書いたけどなんか力尽きたので、中途半端に。
もしかしたら続くかもです。
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