短編。 | ナノ





ミロのヴィーナス
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








『完璧なあなたへ』




背徳的でぞくぞくするような。




いいことしようか

霧野




……………………………




綺麗な硝子細工が壊れるときの

あの


玲玲たる音。



砕け散る硝子の欠片が、

光をきらきら照り返し、


まるで星屑のようで。




床に沈む壊れてしまった硝子細工は、


欠損したからこその、

近寄りがたい崇高な美しさ。




そんな幻想画。

耽美的な嗜好。


君にわかってもらいたい。



「…つまり、神童は俺を壊したいの?」



霧野は言う。


ソファに体を預けながら、顔だけ此方に向けた。



大きな瞳が全身を貫く。

心臓が跳ねた。



自然と高鳴る鼓動。




「本音を言うと。」


そう答えると、

霧野はにっこり笑った。



「神童って、かわってる」



だって、

霧野は、きれいすぎるんだもの。


桃色の頭髪。

翡翠の双眸。

純白の柔肌。

朱色の両頬。





ああ、


どんな精巧な人形より、


断然、美しい。




幼い頃から翳ることの無い輝きは、

最近、

さらに増している。







「強引に壊すつもりはないよ。」


「そうか。神童はやさしいな。」


「そうかな。霧野のほうが優しいだろ。」


君は中身まで完璧だもの。



「そうかな。」









でもね、






(完璧って、)


(逆に物足りないの、)


















「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -