短編。 | ナノ





壁のある君
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あ。

見つけた。



あの目を引く桃色頭。

学ランに違和感を覚える程の、可憐な容姿。





たしか、霧野蘭丸。



「霧野、だっけ?」


浜野海士は、その肩に軽く叩き、活発さが迸る人懐っこい笑顔を浮かべた。


触れた肩は思った以上に華奢で、思わず手を置いたままにするのを躊躇うほどだった。




霧野はその手に驚いたようで、下駄箱に伸ばしかけていた腕を静止させ、浜野に視線を向ける。



「…?」


うっわ。

やっぱ、めっちゃ可愛い。
本当に男かよ。


怪訝な表情の霧野に、浜野は構わず喋りかける。


「霧野もサッカー部だろ?一緒に行こーぜ!!」


「え…っと、」



瞳を伏せ、なんだか乗り気でなさそうな彼を見て、浜野は足を止めた。


あれ?

もしかして、俺のこと知らない系?





浜野は苦笑し、悪い、と、謝った。


「いきなり、ごめんな。俺、浜野海士!!」


例えるのなら、向日葵。


そんな屈託の無い笑みで浜野は言った。




「あ、うん。」


真顔。


その端麗な造型をした顔で、真顔。

そうとう怖かった。


大きな瞳は、明らかに浜野を拒絶している。


浜野は多少たじろぎつつも、めげずに言葉を投げ掛ける。


「えっと、同じ、サッカー部のさ…」


「俺さ、男だから。」


突拍子もない霧野の言葉に、浜野の口が止んだ。


霧野はそんな浜野を見て、呆れた様に溜め息をつき、続けた。


「学ラン、着てるだろ?」


「あ…いや、その」


分かってるって。


浜野は言葉が突っかかる。

霧野の嫌悪感を孕んだ表情。

全身から浜野を拒絶していた。


「まあ、こんな髪型の俺も悪いかもだけどさ、やっぱり、外見に釣られて来る奴っていい気がしないんだよ。」


いや。俺は、


そりゃ、可愛いとか
思ったけどさ。


ただ、おんなじサッカー仲間だから

仲良くしたいなー


と、思っただけなんですよ。


言いたいことは、どんどん沸き上がる。

だけど、言葉にならなかった。


「俺、神童まってるから。君とは部活いけない。」


ああ。

そっか。

解ったから。


そんな、睨まないでって。


「…あ、えっと、わかった!!じゃあ、またな!!」


浜野はやっとそれだけ言って駆け出した。



(ナニあれ、ナニあれ。)


あれか。

神童って、あの、金持ちの。

ワカメみたいなやつ。


そういや、あの2人、いつも一緒だな。


神童も顔綺麗だし、なんか近寄りがたいんだよな。


2人でいるとさ。


だから、1人のときに話しかけたのになあ。


あーあ。

失敗。



てか、霧野こえー。

可愛い顔して
迫力有りすぎ。



でもなー、悪いやつじゃなさそうなんだよなー。


せっかくだし、仲良くしてーよなー。






「ちゅーか、また、明日話しかけりゃいっか」



…………………………………………
あとがき


霧野くんと神童くんは

始は皆と壁がありそうだな。

という妄想からできました。

浜蘭もいいです。

堅めの蘭ちゃんに軽めの浜野くん…

大変良いと思います。



















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