短編。 | ナノ





負け試合
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『俺は差し詰め、大魔王ってトコ?』











深い焦げ茶に染まった瞳は優しげで、

だけど、

それだけじゃなくて、


ちゃんと、凛々しい光を宿し、彼の芯の強さを物語っている。




整った顔立ち。


柔らかな茶髪。


物腰優雅な財閥の御曹司。



クラスの女子が、

「神童先輩ってかっこいいよね。王子様みたい。」

とか、

騒いでたっけ。




(…王子様、ねぇ)


随分、しっくりくるじゃん。

むかつく。





(で、王子ときたら…)


と、


キャプテンの傍らに駆け寄る桃色頭が、視界に飛び込んでくる。


愛らしい微笑み。


(…お姫様)



まあ、姫、じゃないかな。

あの人は、

あの王子様を、守りたがってるみたいだし。



(騎士…?)



は、あの可憐な容姿には似合わないな。

うん。




休憩の時間。


例の王子様へと、ささやかな質問をしてみた。


「ねぇ、キャプテンて霧野先輩といつ知り合ったんですか?」


「…確か、小学校だったかな」


ふうん。

小学生からの付き合いですか。


正真正銘、幼馴染みですね。


マブダチですね。

親友ですね。

唯一無二の存在ですね。





2人の間には誰も入れない。

羨ましいです。






「キャプテンは霧野先輩が好きですか?」



「ああ、好きだよ」



王子様スマイル。

純度100パーセントの、
天然物の王子様オーラ。






むかつく。



…狡いよなぁ。


ほんっとにさ。



…………………………




俺はあなたといると、

いつだって悪者だ。




俺がやってることって、


王子様から、

お姫様を横取りしようとしてるようにしか、

見えないんだもの。

















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