先輩に猫耳はえた
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「猫耳が生えた。」
ふーん。あっそ。
猫耳ねぇ。
まあこの季節、
寒いし、
有りがちな出来事…
じゃ、ねーよ。
「…は?」
「だから、猫耳が生えた。」
いや、うん、そうじゃなくて。
「え。ちょ…先輩、はぃ?」
そういや、やけにフードを深く被ってる。フードを煽る風などに警戒してるのか、わざわざ左右の手で耳辺りを押さえてるし。
彼の頭に手を伸ばす。
「うわっ、…やめろ!!」
先輩の手を強引に引き剥がし、頭部を覆うフードをひん剥くと、
手の添えてあった付近に、
ぴょこんと、
細かい毛が覆う三角形の物体が飛び出ていた。
…いやいやいや。
えー?
「…先輩、猫耳が生えてますよ」
「だから言ってんじゃん!!」
助けろ!!
そんな、
懇願の眼差しを向けられても、どうすればいいか分かりません。
先輩の頭髪と同色の猫耳。
猫独特の柔らかな毛が生え、薄い皮膚がくにゃりと湾曲し猫の耳を形作っている。
すげえ本物だ。
本物の猫耳だ。
色は桃色だけど。
…超次元ぱねえ。
「えー…。なにこれ、くっついてんの?」
思わずそれに手を伸ばす。
すると、
「…にゃ!」
まるで猫のような声と共に、先輩の体が小さく飛び跳ねた。
…にゃ″?
先輩に視線を合わせると、先輩がハッとして口を押さえた。赤色が彼の顔の表面をカァッと駆け上っていく。
「……………えーい。」
三角形した猫耳らしき何かのてっぺんを、指で摘まんで引っ張る。
「にゃあ!」
…やっべえかわいい。
なんだこれちょう可愛い。
再び手を伸ばしかけたところで、先輩に手首を掴まれ制止される。
「や、め、ろ!!」
顔真っ赤にして、先輩は言った。
どうやら、猫耳を触られると猫語(?が出てしまうらしい。
「猫耳は敏感なんだよ!!次さわったら殴る!!」
いや。
猫耳赤面顔で言われても、迫力ないっていうか。
むしろ、かわいいっていうか。
「霧野にゃん丸先輩。」
って、感じ。
やべ。ちょう可愛い。
「にゃん丸せんぱー…、っいってぇ!!」
殴られた。
「ふざけんな。」
真顔。
背景に吹雪が吹き荒ぶような、氷並みの冷却力を持つ真顔。
「だけど猫耳」
どう考えても怖くない。
むしろかわいい。
…………………………
そのあと霧野先輩押し倒して、死ぬほどにゃあにゃあ鳴かせました。
あ。啼かせた、かな?
おしまい。
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