短編。 | ナノ





喜多蘭出会い的な
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少し過去のはなし












(…最っ悪)





こんにちは。霧野蘭丸です。


満員電車といえば、痴漢ですね。




え?

うん。俺男だよ。


え?

おかしいって?

うん。俺もそう思う。




(…あー、きもいきもいきもいきもい)



下半身を撫で回す手に、鳥肌総立ち。


なんなの本当に。俺男なんですけど。やるなら女にやれよ。


いや、やっちゃダメだけど。

絶対にダメだけど。


ていうか、痴漢するほど欲求不満って、可哀想だな。

主に頭が。


天に召された方がいいって。わりと本気で。


しかも性別に見境なしとか、有り得ない。



(あと4駅あと4駅あと4駅…)



…うわ!!

指もぞもぞ動かすな!!



くそ。


…あぁ、もうコレ、次で降りようかな。



と、


その時。




「ちょっといいですか?」



そんな声と共に、一人、少年が俺の隣へ進み出た。


ちょうど、痴漢野郎と俺の間を割るように。



「すいません。次、降りるんです。」



た、助かった…!!



無自覚だろけど、君は俺を助けてくれた紛れもない救世主だ。


ありがとうございます名も知らぬ少年くん。




心の中で、彼に対する感謝と称賛を叫んでいる内に、少年が降りる駅へ電車が到着する。



扉が開き、人が出ていく。




ああ、さらば。

俺の救世主様。

最後に君の勇姿を目に焼き付けておこう。


そう思い、身構えた。(瞬きしないように目蓋を固定。)





すると、


隣に佇む少年は、音楽プレイヤーを弄くりだす。








…って、おい。


あれ?


降りないの?

扉閉まっちゃうよ?



おーい。

音楽選んでる場合じゃないよー。


やべ目乾いてきた。



あ!!

あー…、閉まっちゃったよ?






瞬き3回。




え。



(…もしかして)



ちらりと隣を盗み見た。



初めに目についたのは、鮮やかな橙色の髪。後ろに1つまとめて、前髪をバンドで上げている。



端整な横顔。


綺麗な青い目が、印象的だった。







(俺を助けてくれた…?)




いやまさか。


まさかまさか。




じぃっと凝視していたからだろうか。


少年が、此方に気付いたらしい。

目が合う。




(ど、どうしよ…)





狼狽えていると、


少年が、にこりと笑って、




「…大丈夫だった?」





小さくそう言って、

再び、音楽プレイヤーへ視線を落とした。









(なにこのイケメン)






すごいな。


完敗だ。






中身もイケメンて。



神童みたい…って、ちょっと待って。





この人、見たことある。



この、なんか礼儀正しい感じ。


あと橙色の髪。





あぁ!!






「天河原中の!!」



思わず指差してて、いつの間にか声が出てて、

少年がギョッとしたように瞳を見開く。






同時に、

視線が一斉に突き刺さった。




(やばい。電車の中だった。)






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