短編。 | ナノ





好きな人から恋バナふられたときの緊張感は異常
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『中学生ってえろいくせに純情なのよ』











中学生といえば恋ばな。


思春期に差し掛かる俺達にとって、それは日々生きていて驚異的なエンカウント率を誇る。



まあ、中学生男子の恋ばななんて、

邪な妄想とかが8割超えしてるけど。


あのこ可愛いやら、胸大きいやら。

(恋ばなみたいな可愛い名前じゃそぐわないかも。だけど猥談って表現するほど生々しくないが。)


そんな感じ。



まあ。

健康男子としては、ふつうだよね。






…………………………





「なあ、狩屋って好きな奴とかいるの?」





うげ。


来たよ来たよ。


本日の思春期中学生馴れ合いイベント。

しかも今回のお相手は霧野先輩。



彼の声に振り向き、軽く身構える。


このイベントの難易度、推定L8オーバー。(最高L10。)


何故なら相手が霧野先輩だから。

霧野先輩こそが、俺が思春期独特の甘酸っぱい恋愛感情を抱く対象だからである。







彼は、桃色の頭髪を惜し気もなく煌めかせ、眩しい笑顔を俺に晒す。



様々なキラキラ効果を振り撒く様に、思わず呼吸が止まる。


そして、次の瞬間には動悸。


想像以上の破壊力に、思わずたじろぎ仰け反った。



そんな俺に、親しげに腕を肩に回しながらにやけ面を近付けてくる彼。


翡翠色の綺麗な瞳が間近。
下睫毛の一本一本まで、しっかり見える。



俺は内心焦りまくってて、カッコ悪い醜態晒すまいと必死なのに、

霧野先輩は相変わらず余裕綽々の綺麗な笑顔で。


ああもう。


悔しい。



俺は猛り狂う脈拍を必死に抑制し、平静を装って応える。





「今は、サッカーに集中したいのでそういうの興味ありません」



恋愛絡みの質問されて困った場合の応答典型文を、そっくりそのまま返す。


先輩は口を尖らせ、えー、と、不満気な声をあげた。


いい加減離れてくれないかな先輩。



脈拍が酷い。

手汗が酷い。

目眩が酷い。


なんか死んじゃいそう。



死因、恋の病。


うわ。洒落になんない。

それ、多分、有り得るって。

恋で人殺せるって。




「つまんないのー」


先輩の声が、凄く近い。


鼓膜を直になぞられている感覚を覚える。


くすぐったくって、思わず目蓋をぎゅっと閉じた。


「…まあ今はサッカーが大事か」



くすぐったい。



何故か歯も一緒に食い縛ってしまう。






あぁ、もう


先輩、可愛いなぁ…


声まで可愛いんだもんなぁ。

くすぐったい。口塞いでやりたい。

いきなりキスしたら、驚くかな。

そのまま勢いで押し倒してしまって、舌を絡ませたら…、


いやいやいやいや。


まて。落ち着け俺。


ああもぅ、中学生ってやだ。



ていうか先輩なんで良い匂いすんの。


なんかエンジェルフローラルみたいな名前がしっくりくる甘い匂いがするんだけど。


シャンプー?


霧野先輩髪綺麗だもんなぁ。


触りてぇ。わしゃわしゃしてぇ。



あとさ、肩に回されてる手に噛み付きたい。


軽く歯形つけてみたい。


恥じらいながらも抵抗しない霧野先輩を半ば強引に押し倒してあんなことやこんなことを…









「狩屋…、大丈夫?」


「……っ!!」


やっばい。

思いっきり妄想してた。


先輩の声に、目蓋を見開く。



すると、



霧野先輩の可憐な顔立ちが、目の前で。


大きな瞳にぐぐっと覗き込まれ、




え?

なにキスしていいの?


じゃあ遠慮なく。




という考えに至ってしまうくらい理性が飛びそうになった。






…セーフ。


あと数センチ。









…………………………



「じゃあ、狩屋、また明日な」







本日のイベント無事クリアしました。

HPギリギリまで減らされたけど。



俺、狩屋マサキは、


純情で思春期な中学生なので、


またきっと、


あの桃色天使に苦しめられるのでしょう。




おしまい。

















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