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出口どっち?

ふわふわと、身体が中に浮かんでいる感覚がする

ちゃぷ、ちゃぷと水の揺れる音がする

ここはどこ?

僕は、ルシアのベットに無理矢理進入して、寝て、それで

嗚呼、ここは…






「夢だよ」





「ッ!!」






僕だけしかこの空間にいないと勝手に確信していた
失態だ
この僕が人の気配に気付かないだなんて

夢の中だとしても腹立たしい

僕は閉じてた瞼を開けて身体を起こした
見える景色は真っ暗だ
でも座ったままの僕の腹辺りまで水が張っているのはわかる
それ以外は何もない殺風景な世界

あの声は誰のものだ?





「後ろだよ」
「!!」
「そんなに驚かなくていいじゃないか」




後ろに立っていたのは僕
でも、少し違う
僕であって、僕じゃない




「当たり前じゃないか…第一、僕は女じゃないから身体の作りから違う」
「女じゃ、ない?」
「そうさ、僕は女じゃない」
「…男の僕は、何の用で夢に出てきたんだい?」
「用…というよりは、失望だね」
「は?」

「君には失望したよ、僕」





失望?
どうして僕は僕に失望されなければならない




「本当にわからないのかい?僕でありながら情けない事この上ないね」
「僕は僕の人生に失望なんてしていない」
「だろうね…君は幸せを選んだ」
「それの何が悪いんだい?ルシアの傍にいれるならそれでいいし、それが僕の思い描く未来だ」


「…ルシアの傍……?」




僕がルシアの名前を口にした途端、雰囲気がガラッと変わる
いつの間にか水はなくなっていて、怖い顔をした僕が目の前に立っていて

僕に杖を向けていて

目の前の僕の後ろには、死体が詰まれていて

血、血、血、血溜まり



「ハハッ!!ルシア?ルシアだって…?何を馬鹿な事を言ってるんだ!!」



怖い



「お前は僕だろう!?僕はお前だ!お前の望みは全てを闇に染めることだろう!!!」



怖い



「僕を、偉大なる母を捨てた!マグル共を皆殺しにして!!純血だけの世界を作って!!全てを見返す事だろう!!」



怖い、こわい



「何を腑抜けた事を言っている!!僕はお前だ!そうだろう!?あの狸爺を殺して!マグルも穢れた血の混じった魔法使いも!全て全て排除して!!世界を手に入れて!!!」



怖い、怖い怖い怖い怖い

目の前の僕は死体の山に腕を突っ込んで
一人を引きずり出して
笑って、嗤って、哂って、嘲笑って

僕の前に、ぐしゃり、

嗚呼、やだ、やだやだやだ!!
やだ、やめて!!
まだ生きてる!まだ息をしてる!!



「ルシアは、穢れてるだろう…?だったら、殺さないと、ねぇ?僕」
「いや!!や、めて…おねが、!」



「と、む…なん、で…」



「止めてッ!!!」








 ア バ タ ケ タ ブ ラ






「こ…の、……ひと、ごろ…し…」






「あ、あああ、あ、あ、…!!」

「アハハハハハハ!!!さァ!遊びはお終いだ!!!トム・リドル!!!スリザリンの末裔よ!!!!!」
















出口どっち?







「トム!!おい!起きろ!!!トム!!」
「ぅ…い、や…う、ああぁああああ!!!」
「トム!しっかりしろ!俺は此処にいるから!大丈夫、大丈夫…」
「……ふ、ぅ、ルシア…っ、」
「どうしたんだ?…飲み物いるか?すげえ唸ってたから、起こしたんだけど、」
「いい、から、…!いらないから、ここにいて…っ」


ふと、目が覚めて、横を見たらトムがいた
また潜り込んだのか、と呆れていたら、何だか様子が変で
最初は起こさない方がいいのか?と見守っていたのだけれど
だんだん、酷くなっていって
無理矢理起こしたトムの目は、見たことがないほど澱んでいた




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