Tattoo 07

「…○○!」
○○の叫び声をシンとソウシが聞きつける。
どうやら彼らのいるよりもさらに階下に、○○は捕われているようだった。
足を速め、シンも銃を撃ち始める。
銃声に走り寄る男達が、二人に近づく間もなく次々と足や腕を抱えて倒れていく。
背後から忍び寄ろうとする者は、ソウシの手で関節を外され手刀に倒れる。

「…仲間が迎えにきたようだな」
○○を詰問していた男が、立ち上がって片手を上げる。
一斉にかなりの数の兵が、階段に向かって構えた。
「…!」
シリウスのメンバーは強い。
だが、○○のいる場所に辿り着けるのは海軍に囲まれた階段だけ。
○○は思わず叫んだ。
「シンさん、来ちゃダメーーーーーッ!!!」

「○○!!!!!」
シンが階段を駆け下りようとするのを、ソウシが制する。
「…っ、ドクター?!」
「落ち着いて、シン。○○ちゃんがあぁ言ったってことは、この階段は囲まれてる」
そう言ってソウシは懐から丸い物を取り出す。
「3秒、かな。目を閉じててね」
にこりと笑ったソウシが手を離すと、コンコンコンッっとその玉がリズムよく階段を転がり落ちる。
次の瞬間、軽い破裂音と共に辺りが光に包まれた。

「っな、なんだ?!」
「くそっ閃光弾か?!」
光が収まるのと同時に二人が階段を駆け下りると、眩しさで視力を失った兵がフラフラとしながら、なんとか物音だけを頼りに二人を迎え撃つ。
だが動きが鈍っているのは事実で、その攻撃は的を射ていない。
階段を下りる前に補填した銃弾が切れるまで、シンは比較的正確な攻撃をしてくる兵を選んで撃っていく。
剣を持てないように右腕、或いはその足を狙って一人ずつ。
ソウシが順番に残りの兵を片付けながら、シンに言う。
「ここはいいよ。○○ちゃんを!」
その言葉にシンは鉄格子の中を見た。

玉が転がる音を聞いた○○は、条件反射的に目を閉じていた。
「シンさん!」
視界を失わずに済んだ○○は、安堵の表情でシンの名を呼ぶ。
その横で○○を痛めつけた部下と、訊問していた上司はフラフラと鉄格子に掴まっていた。
弾を補填し直して牢の鍵を撃ち抜いたシンは、そのまま上司の右腕と左脚、部下の両足を撃ち抜く。
固定された台には、○○の右手首が痛々しい火傷の痕と共に晒されている。
「クソッ」
シンは、手首を台に固定する金具と柱に繋がれた鎖を正確に撃ち抜いた。

「行くぞ!」
火傷のせいでその腕を自由に使えない○○を横抱きにしてやれない。
走れるか、との問いに力強く頷いた○○を連れて、シンは走り出した。
まだ何人かの視力のない兵を相手にしているソウシに合流する。
「どうせ追ってこれないから、放っておこう」
笑顔で腕の中の兵の関節をゴキッと鳴らしてからソウシが言う。
シンと○○は頷いて、三人は階段を駆け上がった。

あれだけ暴れたにも関わらず、収容所内で襲ってくる兵はもういなかった。
外が騒がしいところを見ると、総出でリュウガ達の相手をしているのだろう。
三人が表に出ると、ソウシが合図の照明弾を撃つ。

天高く上がったその光に、逃げ回っていたトワ達はそれぞれに軍を撹乱しながら船に向かう。
○○もシンとソウシと共に、船へと向かった。
豪快に笑いながら海軍の相手をするリュウガが、ナギが船に向かったのを確認してから船へと走り出す。
いち早く船に着いたシンが出港の準備を始め、少し遅れてソウシが○○と到着して火傷の手当てをする。
次々と船に乗り込むメンバーは、幸い追っ手を撒ききったようだ。

「船を出せ!」
叫びながらリュウガが船に走ってくる。
後ろには大勢の海軍が迫ってきていた。
シンが船を出航させると、リュウガが船に張られたロープに掴まる。
ナギとハヤテが協力してリュウガを引き上げた。

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