情動 /
ボス(→ヒメ)ss
目が霞むような白。断片のような雪が頬に貼り付く。初雪だ。呟いた言葉はたちまち、大気の中へと吸い込まれた。音が消えていくようだ、静謐だが茫眛としていてうら寂しい。
「っくしょん、」
さすがに薄着すぎたな、と自身の服装を見下ろして息を吐く。彼女の温もりが恋しくて、いつか抱き締めた時の体温を思い出した。
灰色にくすんだこの空の下、ヒメコも身を震わせているだろうか――近くにいないことがもどかしくて、堪らず、会いてぇなと声が漏れる。どうせ雪に染み込んでしまうだろうと思われたその声がやけに大きく響いて、どうしてか、更に切なくなった。
細雪に情動
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12月ですね。
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