成道 /




もしも正文が加藤と同じクラスだったら。(=捏造)
加藤が生徒会に入る前。






呟くようにクラスメイトが口にした言葉を脳内でゆっくり反芻させてから、俺は静かに顔を上げた。無言の視線は痛いくらい真っ直ぐに俺を捉え、放さない。
乾いた唇を舐めて、薄く開いたその隙間から言葉を発しようとするのだけれど、思考が上手く言語にならない。絡まり合った感情に眉をひそめ、一番最後に辿り着いた結論だけを仕様がなく口にする。

「俺は、おまえが、きらいだ」

端的に告げた言葉に相手は微苦笑を漏らし(まるで初めから俺がそう言うだろうことをわかっていたみたいだ)、でも僕は加藤くんのこと嫌いじゃないよとやはり端的に述べた。眼鏡の奥の瞳が眩しくて、俺は目を細めた。その齢にしては達観したその微笑い方に、俺はああやはりこいつがきらいだと思う。

加藤くんって正義感強いよね。

一番初めにこいつに言われた言葉を思い出しながら、靡くカーテンの音をただ黙って聞いていた。日差しの強い、初夏の出来事だった。




成道しているのかと思った。
(見透かしたような目で俺を見るな。)





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自分の中の正文が、どんどん聖人化していく気がします(^p^)
本当は震平も出したかった。












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