動態 /




キリ←ハニss





世界は廻る。気付かないほど緩やかに、しかし、確実に。
季節は巡る。わたしを取り残すように、静かに、何度でも。


生徒会室の窓を、雨が打つ。ああ、だから梅雨って憂鬱なのです。突然天候が変わるなんて、ひどく気が滅入ってしまう。
徐々に勢いを増す雨脚を何とはなしに見つめていると、がらりと音を立ててキリくんが入ってきた。先輩方は明日の模試に備えて早々と帰ってしまったから、彼も暇なのかもしれない。
彼は窓の外に目を向けて、少しだけ顔をしかめた。傘が無い、と小さく舌を打ち、珍しく庶務の席に腰を落ち着かせる。隣の席のわたしは思わず、椅子の上で身を硬くした。

「おまえも、傘無いのか」
ふと訊ねられ、わたしは暫し迷ってから一度だけ小さく首肯する。彼はふぅん、と溜め息のようにそう漏らして、頬杖をついた。
綺麗な銀髪、端整な横顔、首筋の血管――横目でも見るのは憚られて、視線をデスクの上に落とす。会計ノート、の文字が掠れて見えた。
雨音が静かな室内に響き渡る。静かに移ろいゆく世界の中で、いつまでこうしていられるのだろう。せめて数秒でも長く、この雨が降っていればいいのに、と願うように祈るように、わたしは思った。
通学用の鞄の中には、出番を失った折り畳み傘が静寂を保っている。




動態に沈む雨
(短い時の中でもあなたと居たいと願ってしまう。)





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アニメで希里とはにたん見たい( ´q`)












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