道化 /




ロマ→ボスヒメ




多分わたしの思い描いていた結末は雑じり気のない幸福だったのだけれど、そして確かにそれを望んでいたのだけれど、どこかで無理かもしれないという思いはあって、傷つくことから目を背けつつも苦い味を噛み締めていたの。
――なんて、言い訳のようにわたしの撞着を並び立てたところで結果は変わるものでもなくて、ただ事実は静かにそこにあった。アンハッピーエンドに酔いしれることが出来たならば幾分かまし、だったのだろうけれど、残念ながらわたしは、そんな厚かましいヒロイズムを持ち合わせていなかったらしい。

「おまえの気持ち、その、すげぇ嬉しいんだけど……、」

悪い。
その一言が胸に落ちてくる。じわじわと緩やかに心を蝕んで、軽く涙が溢れた。
あの時の王子の表情は忘れられそうになくて、ふとした瞬間に思い出す。やだな、いつまでも引きずりたいわけじゃないのに。

ひめの手を引く、器用で不器用な王子の掌。黒髪が跳ねる。金髪が揺れる。――偶然その光景を目に留めてしまったわたしは、また少し泣いた。
結局彼はわたしの王子様ではなかったということなのか、と今更のように悟って、スクリーントーンの切れ端が付いた手で目元を拭う。愚かでした、ごめんなさい。
涙はわたしの想いを乗せて、次から次へと溢れてきた。泣き終わった時、少しでも「すき」が軽くなっていればいいのにと思ったけれど、多分まだそれは無理だと思うの。だってこんなにも恋してる。




BAD ENDなんかじゃない
(そうして乙女はまた強くなるのです。)











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テーマ「推しとの恋」
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