同行 /




ボスヒメss





既に閉まった大型スーパー。その屋上に忍び込んで空を見上げれば、ぼんやりとした光を注ぐ月が少しだけ近く見えた。近く見えんのは気のせいだろ、とボッスンは笑ったけれど、そしてそれは多分正しいのだけれど、それでもわたしは伸ばしたこの手が幾分か空に近付いたような気がするのだ。
辺りの電灯が消えているため、夜空は街中で見るよりもすっきりと光を映していた。小さな煌めきをこの胸にかき抱きたくて両腕を目一杯広げてみたけれど、やはり星も月も夜空で静かに笑うだけだった。
夜風に髪が靡く。少し肌寒いが、身を震わせるほどではない。夜中の外の空気が珍しく思えて、息を大きく吸い込む。昼間とは違うにおいがした。
「あはは、何や悪いことしてんのに、めっちゃ楽しいわー」
「あんまはしゃぐなよ、誰かに見つかんだろ」
これ、不法侵入で警察沙汰になんのかな、と全然緊張感の無い声でボッスンが呟く。
「罪は半分こ出来ひんからなぁ」
「同罪だな」
そう言って彼は柵に肘を乗せ、空を仰いだ。そうすると浮き上がった喉仏がやけに目について、ああボッスンも男の子やねんな、と改めて思う。
周りはいやに静かで、時たま車の通る音だけが聞こえるだけだった。

「…………あのさぁ、ヒメコ、」

不意にボッスンが口を開く。この二人きりの世界の中、彼は何を言うのだろうとわたしは耳を澄ませた。




パノラマの世界できみは叫ぶ
(夜空に突き刺さる、「好きだ」と叫んだきみの声。)





-----
更新率低くてすみませぬ!!

ちなみに半分くらい、先輩(男性)の実話です。












「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -