黄道 /




ボスヒメss





蝋燭に灯った火のように、あるいは凪に吹かれた海面のようにゆらゆらと揺れるヒメコの瞳を見つめていると、脳の底で理性が傾いだ。青みがかったその瞳は小宇宙のようで、有限の距離に無限の世界を見た気がした。
じ、と彼女の瞳に視線を注いだまま嘆息を漏らす。喉をぎゅうと絞り、それ、と細い声を彼女に向けた。
「そん中に棲んでんの?」
「は?」
「宇宙」
「……何言うてんのあんた、頭わいたんと違う?」
ヒメコは目を細めて微笑う。狭まった宇宙に口吻けるように、彼女の目蓋にキスを落とす。間近で見た瞳は多分、この世のすべてのものの中で一番綺麗なのだろうと思った。
金色の前髪を掻き上げ、露わになった額を寄せて熱に酔う。熱い、けれど心地好い温度が融け合って、じわりと心が焦れた。
「キス、しますけど?」
「何やそれ、」
笑いとともに零れた彼女の言葉まで呑み込むように、唇を食む。そうして間近で覗き込んだ瞳は、滲んだ涙の色を映して深い深い青を見せた。




深淵なるブルー、親愛なる青蒼
(「見れば見るほど変な色だな」)
(「喧嘩売っとんのか?」)





------
拍手お礼文にしようと思っていたのですが、予想以上に短くなったのでこちらにアップ。
まあ今考えると、こんなんお礼文にしなくて良かった。











第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -