同窓 /



※捏造未来






3年C組同窓会。会場を見渡してみれば、殆どの面子が顔を揃えていた。
広い座敷に並んで騒いでいる姿は当時と変わらないのに、手にしたジョッキや猪口が年齢相応のものを感じさせた。ガキだガキだと思っていたメンバー(自分も含め)が、酒を酌み交わしているなんて――藤崎は少し首を傾げて笑った。
「ボッスン殿ボッスン殿、」
懐かしい呼び名に顔を上げれば、武光が中ジョッキ片手に声をひそめた。「ヒメコ殿もおられるぞ」
「ああ、うん。……で?」
「で? って!! で? って!! そんな反応でござるか!!」
「いやいやいや、なんで俺ちょっとひかれてんの? どういう反応期待されてたの?」
「だってボッスン殿は高校時代、ヒメコ殿を好いておられたであろう。ひゅーひゅー!!」
「うぜぇ!! こいつ酒入ると、五割増しで絡みにくい!!」
武光はその後しばらく最近の恋愛事情を語り、満足したように藤崎から離れていった。結局、自分の近況を聞いてほしかっただけみたいだな、と溜め息を漏らす。
そんな藤崎に、それで? と声を掛けたのは、正面に座る高橋だった。相変わらずすごいスピードで食べ物を胃袋に納めている。彼女は照れたように、これでも食べる量減ったのよと言っていた。
「それで? って……」
藤崎が訊ねると、高橋は箸をテーブルの上に置き、薄く微笑を滲ませた。
「もちろん、ヒメコちゃんのことよ。ボッスンはどう思ってたのかなって」
「あー……」
藤崎は言葉を濁し、件の鬼塚一愛をちらりと窺った。少し離れたところに座る彼女の髪色は、高校時代よりだいぶ落ち着いたものとなっていた。身体のラインも、相変わらず華奢ではあったけれど、女の子、よりも、女性、と呼ぶにふさわしいものとなっている。
当時の面影はそこかしこに残っているのに、今そこにいる彼女は誰か知らない女性のようだった。
藤崎はジョッキの中の温くなったビールをちびりと舐め、苦い笑いを高橋に向けた。
「さあ、どうだったっけな」
ビールの味が、しなかった。




昔のことなんて忘れちまったよ。
(きっともう思い出さない。)






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気が向いたらメインの方で使いたいネタ、です。
もっとクラスメートを出したいけれど、ごちゃごちゃしそうなので……。

同窓会?同級会?どっちですかね?











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