同一 /




はに→藤、ばに→椿ss




顔貌が同じなのは当たり前だ。だって彼女はわたしで、わたしは彼女なのだから。同一の人格とか、統一された意思とか、本当の自分なんて問うことは、この際ナンセンスなのでしょう。わたしが彼女であると同時に、彼女は彼女であり、別の思考回路を持った別個の存在なのです。
もしかしたら感情や嗜好くらいは共有できるのかもしれないと思っていたけど、そしてそれはとある一部分においては確かにそうなのだけれど、でもやっぱり大部分では、わたしが求めたものと、彼女が欲したものは違っていた。
根幹は同じ。だけど同一のものではない。――それはわたしと彼女のことであり、わたしがすきな彼と彼女がすきな「彼」のことでもある。

うまくいかないものね。

心の中で彼女が言う。アナタも会長を好きになればいいのに、と。
わたしは少し考えて、首を横に振った。それは無理です、だってわたしは藤崎さんがすきだから。そしてわたしは、あなたも藤崎さんをすきになればいいとは、思えないわ。
ふぅん、そう。彼女は笑う。うまくいかないわね。
その通りですね、とわたしは頷く。でもあなたが彼をすきにならなくて良かったと思うのも、事実だった。


視界の端で、あの人の黒髪を捉えた。




アシンメトリーな心音
(ときめいたのは、わたしの胸か、彼女の胸か。)






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こんなん書いといてあれですが、はにばにはちゃんと気持ちを共有しているのではないかと思っております。












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