知道 /




キリハニss




期待していなかったと言えば嘘になるが、大して望みもなかった。何故ならば相手は大が付く程の男嫌いで、男なんか存在意義がわからないと、婉曲に、けれど確実に傷をつける言葉で告げてくるような奴だ。だから期待はほんの少々抱いていたが、そんなもの無駄だとどこかで思っていた。
なのに。
「今から一人言を言います」
いつものようにそう前置きをした彼女は、椅子の上で身を硬くした。目線こそこちらを向いていないが、意識は真っ直ぐ俺に向かっているのがわかる。
曖昧に頷いて先を促せば、彼女は小さな口を再び動かした。
「ケーキを作ったのですが、一人では食べきれません。誰か一緒に食べてくれないかしら」
「―――ふん、」
ひとつ咳払いをしてから、俺が食べてやる、と頭を掻きつつ答えると、宇佐見はこちらにちらりと目を向けた。そして再びデスクに目線を戻し、少し躊躇うような素振りを見せた後、お誕生日おめでとう、とぽつりと小さく呟いた。赤茶の髪の隙間から覗く顔が、微かに朱に染まっている。
今の言葉は、一人言でなかったらいいなと思った。




息をする、恋を知る、愛になる


Happy Birthday dear Kiri !!
2012.04.08





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やっばーい!!遅刻遅刻ー!!(←ロマンちゃん風に)











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