動地 /





ボスヒメss





幸せは時に、柔らかい真綿で首を絞められているかのような感覚に陥らせる。静かに優しい死を待つその感覚は、徐々にわたしの神経を細らせ、蝕んでいく。
ぐ、と急に酸素が足りなくなったような気がして、手を伸ばしてもがけば、冷たくなった指先に慣れた温もりが触れた。薄く目を開けるとそこには、少し色褪せた赤いキャップが見えた。
「おまえ、いつまで寝てんだよ。もう授業終わってんぜ?」
「ん、授業……?」
「なんだ、寝惚けてんのかよ」
「あー……、」
固い机から顔を上げて、辺りを見回す。クラスメイトは既に、散り散りになっていた。
ふと気付くと目尻が濡れていて、慌てて拭おうとすると、それより先に彼の手が伸びてきた。そ、と水滴を乗せた指先がひどく美しく見えて、それだけでわたしは幸せを感じてしまう。
なのになぜだろう、こんなにも苦しいのは。どうしようもなく切なくて、指先から脳の芯まで恐怖に震えるのだ。緩やかに奪われていく酸素が脳細胞から抜け落ちて、ゆるゆると思考が霞んでいく。喉の真ん中辺りが、熱くて痛い。
「……大丈夫か?」
「ん、だいじょーぶ、や」
幸せなわたしはそれが嘘か本当かの区別もつかないまま、ただ彼の指の温もりに甘えていた。




驚天動地の殺人者
(多分わたしはいつか、しあわせに殺されるのだろう。)





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うーん……(´-ω-`)












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