童話 /




ボスヒメss




照明の当たった水がゆらゆら揺れ、暗い室内に青白い光の波を落とす。
はしゃいだように声を上げる彼女に手を引かれ、水中トンネルをくぐっていく。細い指先を手繰り寄せて指と指を絡めれば、彼女ははにかんで微笑った。
「見てみぃボッスン、マンタやでマンタ!!」
「おぉ、美味そう!!」
「何でやねん!!」
ゆっくり進みながら水槽を覗き込んでいると、まるで自分が水中にいるかのような気分になってくる。手を伸ばして柔らかい水に触れようとするのだけれど、指先がぶつかるのは無機質なガラスだった。
ふと隣を見れば、彼女が分厚いガラス越しに小さな魚と戯れていた。――少なくとも自分には、そんなふうに見えた。ともすれば水の中に吸い込まれて泡になって消えてしまうのではないかと、そんな想像が頭を占める。
彼女の存在があまりに儚く思えて、だから俺は、彼女が冷たい水の中に誘われていかないように、きつくその手を握り締めるのだった。




きみはさながら、二本足のマーメイド
(どうかその笑顔が海の藻屑となりませんように。)





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未だにリハビリ中。
情景描写がまだ……なんか……(´-ω-`)ウーン

タイトルのセンスが悪すぎて泣けてきます。












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