道理 /




キリボスss




夕焼けは苦手なんだ。
茜色が眩しい町を見下ろしながら、加藤はそう言った。続きを待ってみたけれどそれ以上加藤の口が開くことはなくて、ふぅん? と藤崎は曖昧に頷いてみせた。
沈んでいく太陽は腐りかけのトマトのようで、あんなにも赤いと確かに怖ぇな、と藤崎は考える。そう言えば空気中に飛沫する塵が多いほど赤くなる、という話を聞いたことがあるけれど、だとすれば今日の夕日が怖いくらいに赤いのは、世界が汚れている所為だろうか。加藤が嫌うのは意外と、汚れた世界の方なのかもしれない。
夕焼けの色に染まる加藤の髪を見つめながら、藤崎は彼の黒いニットの裾を引いた。加藤はその手を横目で一瞥し、眉間に皺を寄せる。機嫌が悪いのではなく照れているのだとわかっているため、藤崎は目を細めて笑った。
「顔、赤いぜ?」
「……夕日の所為だろ」
嫌いなくせに、都合よく照れ隠しに夕日を使うのか――矛盾を抱え込んだ加藤の言葉に、藤崎は苦笑を漏らす。
「ああ、夕日が綺麗だぁ」
「どこがだ、ばーか」




この汚い世界に道理をください。
(汚い世界でしか映えない夕焼けにきみの綺麗な心が潰れませんように。)





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萌えるCPをとりあえず書いてみたその3











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