感動 /
藤宇ss
絶対に触らないでくださいね、という言葉は宇佐美が言うと色んな意味を背負っていて、少々その真意を測りかねる。決して絡むことのない視線の先には何が映っているのか知りたかったけれど、俺がそれを知るのはきっと、もっと先のことなんだと思う。
もしかしたらもうすぐ宇佐美は泣いてしまうのではないかと思ったけれど、決してそんなことはなく、ただ震える掌を拳の形に変え、何かに耐えていた。
「わーってるよ」
俺はちょっとだけ笑って、歩き始める。その隣を宇佐美がちょこちょことついてきた。それに合わせて歩幅を緩めると、ありがとうございますと消え入りそうな声が聞こえてきた。こうして俺に直接話し掛けてくれること自体、ものすごい進歩なのだと思う。
手が触れそうで触れない距離を保ちながら歩いていると、あまいにおいが鼻先を掠めた。それだけで幸せだった。
その声と香りに触れられるだけでぼくは感動するのです。
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萌えるCPをとりあえず書いてみたその2
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