慟哭 /




スイモモ(?)ss





画面の向こう側で、モモカが声を上げて泣いていた。赤らんだ頬を辿る涙は透き通り、つつつと重力に従って落ちていく。
陳腐なストーリーも過剰な演出も頭の中から飛んでしまうくらい、彼女の泣く姿は綺麗で美しく、それでいて自然だった。声を上げて泣くという行為は、もっと醜く汚いものだと思っていたのに。
心が震える、とでも言うのだろうか。渇いていた胸の底がぴきぴきと音を立てていくような感覚。自分はもう随分と長い間、こんなふうに泣いていない――哭いていない、と気付く。
眼鏡を外し、そっと目元に手をやる。ぼくの目は乾いたままで、やはり濡れてなどいなかった。
ドラマはもうすぐエンディングを迎える。涙に濡れたモモカの声が、いつまでもストーリーの真ん中で立ち止まるぼくを責めるようだった。




細い琴線に触れる際はお気をつけて。
(これでも哭いているんだと言ったら、きみは信じてくれるだろうか。)






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更新にムラがありすぎでスミマセンっ。












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