消化作業04 /




キリ⇔ハニ前提
椿と加藤



会長、と呼ばれて振り向くと、加藤希里が控えていた。控えていた、と言うと何やら大層な感じがするが、いかにも控えているという体で方膝を立ててしゃがんでいるのだから仕様がない。
ああどうした、と肩にかけたバッグを持ち直しながら僕が答えると、希里はひどく言いづらそうに、申し訳ありませんと前置きしてから言葉を紡いだ。
「その、宇佐見が、今日は定例会議に出ないと……、」
「む、具合でも悪いのか?」
「いえ、多分、そういうのではなく、」
後を濁した彼に、僕は眉をひそめる。何かあったらしい、と思える程度には人の機微にも気を払えるようになった。
何があったと尋ねると、希里は曖昧な、微笑とも苦笑ともつかない表情を浮かべ、いえ特には、と小さな声で告げた。僕は暫くその顔を見つめていたが結局、諦めて息を吐き出す。
「助けが必要なら、すぐに言え」
「…………はい、」
消えかけた言葉尻に被せるように、まったく難儀だなと漏らすとようやく、希里は笑みらしい笑みを見せた(申し訳なさそうではあったけれど)。
「面倒で申し訳ありません」
「いや、構わない。……今はそれが結構、楽しいんだ」
定例会が終わったら君はすぐに帰るといい、と歩き出しながら告げると、いやしかし、とまた難儀な返答が聞こえた。再び振り向き、命令だ、と言う。希里はやはり申し訳なさそうに、少しだけ微笑った。
明日は全員揃うといいな、と誰にともなく呟いた言葉は、ゆっくりと廊下に落ちていった。




やさしいかんしょう
(優しい干渉、易しい感傷。)












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