公道 /




藤崎兄妹ss




一月朔日。受験生にも休息は必要だ、とルミに引っ張られて外に出ると、薄ら雪が積もっていた。積もった、と言うより軽く地面に敷き詰められた、と言うのか、とにかく足跡が残る程度にはコンクリートの上の白は厚みを持っていた。どうやら昨夜からの降雪のようだが、未だに雪は空から落ちてきており(おっと、禁句か)、ダサいと妹に罵られても長靴で出てきて良かったと息を吐く。
「寒いね」
「……どうでもいいけどおまえ、兄と登校するのは嫌なクセに、初詣は一緒に行くのか?」
「だってお正月の時って、神社に屋台出るもん」
「おいルミ、どういう意味だ!? 自分で買えよ!? お年玉もらったばっかりだろ!!」
「明日、初売りなんだよね」
「おいルミどういう意味だ!?」
こいつ友達とどういう付き合いしてんのかなーと心配になるが、そこは俺の妹、まぁなんとか上手くやっていることだろう。慣れない雪の上で転ばないよう、俺のダウンの裾を掴みながらゆっくり進んでいくルミは、まだ幼く見えた。
ねぇ、と下を向いたルミが口を開く。うん? と俺が答えると、妹は尚一層首を下方に傾けた。
「……仕様がないから、ルミもお兄ちゃんたちの合格、祈願してあげる」
「……おぉ、そいつは助かる」
俺の上着を掴む手が、緊張を解くように少し緩んだ。人通りが多くなったら、彼女はきっと、この手を離すのだろう。一人で歩けるというのは、妹にとって悪いことじゃない。それでも、
どうか来年、その小さな手が誰かの手の届くところに、ありますように――。




兄、妹、
(守り守られる存在が、どうか君の元にあるようにと願う。)





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20140101












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