歩道 /




鬼塚と藤崎ss
※捏造未来








どこでそんなん覚えたん?
貼り付けられた彼の愛想笑いを見ながら、わたしは背筋が冷たくなるのを感じた。
久々に見た彼は会社に勤めていて、昔からそうだったけれど、やはり何をやらせても小器用にそこそこのレベルまでこなしていた。しかし当時の彼は愛想笑いであるとか作り笑いであるとか、そうゆうものを浮かべる類いの器用さは身に付けておらず、どちらかと言えば苦手としていた。
そのはずなのに。
押さえつけられた癖っ毛もストライプが薄く入ったスーツも磨かれた革靴も、どれもが全部、彼の今を指し示しているようで。あの時の面影を探す方が難しいなんて。
いつまでも愛想笑いなんか覚えられなかった、わたし。覚えたくなんか、なかったのかもしれない。おとなになることが怖かった、なんて今更言わないけれど。

「よぉ、ヒメコじゃん」

やめや、そんな顔で呼ばんでほしい。
わたしはあんたなんて知らない。
ボッスン、今どこや。




遊歩道で知らん顔
(ヒーローはもういないのか。)











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