「三郎次も抱いてみなよ。誰でもできるから」
「そうかなぁー」

そう言って左近は眠る赤ん坊を三郎次に渡す。
しかし赤ん坊が三郎次の腕に収まった途端、ぐずぐずと泣き出してしまった。
おまけに今まで静かだったのに手や足をばたつかせて暴れ出した。

「わわっ!左近、やっぱ俺には無理だ!早く代わってくれ!」
「はいはい」

慌てて左近に赤ん坊を渡す。
するとさっきまでのが嘘のようにまたすやすやと眠りについた。

「すげー…やっぱ左近上手いんだよ」
「えーなんでだろ…」

そんなこんなで、赤ん坊を抱きながら時間は過ぎていった。

「重い…三郎次交代してよ」
「でも俺が抱くと泣き出すしなぁ…」

左近の腕はもう限界だった。
きり丸に紐を借りればよかったと心底後悔する。
かといって地面に寝かせるわけにもいかない。

「やば…腕の感覚なくなってきた…」
「あ、じゃあこれならどうだ?」

そう言うと三郎次は赤ん坊を抱く左近の腕の下に自分の腕を入れて、実質赤ん坊の体重を支える形になった。
左近への負担が一気に軽減した。

「これなら楽だろ?」
「三郎次…」

赤ん坊は、二人の腕の中で静かに眠っている。

「なぁ…こうしてるとさ、俺たち夫婦みたいだな」
「なっ…!!」

ニッと笑う三郎次の顔がすぐ近くにある。
左近は急に意識してしまい、顔が熱くなった。

「俺たちにも、子供ができればいいのにな」
「ば…ばっかじゃないの!男同士なんだからできるわけないだろ!」
「分かってるさ」

そう言う三郎次の顔は、なんだか少し寂しそうだった。

『なんでそんな顔するんだ。男なんだから仕方ないだろ?無いものねだりはよしてくれ!そりゃ僕だって…』


作れるものなら作りたい。







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