「あ、あの!!」
俺はすれ違い様、勇気を出して会長に声を掛けた。
すると会長は、ゆったりと振り向き、元々鋭い目で俺を射抜く。
「……何だよ、用があるならさっさと言え。俺様は忙しいんだ。」
「は、はい!あ、そのこれ!!焼き菓子なんですけど……」
「っ!!これは……お前が、」
「そうです……俺が焼いていました。今日も生徒会室へ届ける所だったので、丁度良いと思いまして。」
俺がそう言って菓子を差し出すと、何故か会長の目に鋭さが増した。
「おい平凡!菓子なんて甘ったるいもんは女々しい奴の食い物だ!俺様には必要ない!ふざけてんじゃねぇぞ!こんな物!畜生が胸糞悪ぃ!」
『分かったら消え失せろ!!』と、吠える会長は、鋭い目をしながらも、菓子の入った袋を気にしている。
ああ、きっとこの人は、甘味好きを隠したい甘党人種だ……と、瞬時に俺は理解した。
以来、会長は俺を威嚇する様になり、己の判断ミスを後悔せずにはいられない日々を送っている。
×END
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