「お近付きの印にぃぃいいっ!!」
「は?!え?!ちょっ!!」
そう叫ぶと俺は、戸惑う会計の口へケーキを半分程突っ込んだ。
『ぶふぅおっ!』と、超絶イケメンらしからぬ声の後に、チャラ男会計は徐々にケーキを飲み下していく。
そして口の中が空になると、タレ目がちだった目元をキッと釣り上げ、俺を睨み付けた。
「なんのつもりだ、平凡野郎!!」
「え、いや……ケーキ焼いたんで、会計さんにも是非と思って?」
「はぁ?!にしても渡し方ってもんがあるでしょ!!馬鹿なの、君?!それに俺は、無闇やたらに手作りは受け取らない主義なの!!変な物入ってたら困るし!!」
ふんっと鼻を鳴らす会計は、チャラ男のくせにしっかりしてんだな。
けど、『いつ寝取られた!って逆恨みした非モテ君に盛られるか〜…』って警戒する辺り、結局はチャラ男だった。
「まぁ、突然口に突っ込んだ事は謝ります。ごめんなさい。でも半分は食った事だし、仮に盛ってあったとして、今更残すのは無意味かと……だったら全部、食べてもらえませんか?結構自信作なんで。」
『勿論、盛っちゃいないけどさ。』そう言えば会計は、少し考えた後でケーキを残さず食べてくれた。
――――――――――
翌日、たまたま普段より早く教室へ行くと、チャラ男会計の姿が……他は誰も居ないらしい。
『変わった事もあるもんだ。』と、呑気に考えて居れば、俺の存在に気付いた会計が徐々に近寄って来る。
「あのさぁ……」
「な、なんでしょうか?」
「昨日のケーキ……美味しかった。今度また、焼いてくれる?」
照れているのか、うっすら赤い頬をした会計は非常に可愛かった。
当然俺は『いつでも焼くよ!!』と快諾し、以来、俺達の仲は友情の域を……と、これはまた別の機会に。
◎END
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