ふるふるふるふる、俺の震えに合わせ、カサ……カサカサッと、微かにラッピング袋が音を立てる。
「……なぁに?平凡君?」
チャラ男会計はその名に相応しい喋り方と、小首を傾げるあざとさを見せた。
不思議そうに、でも、どこか冷めた視線に耐えながら、俺は必死に口を開いた。
「あの、これ、ケーキ焼いたんだ。もし良かったら……他の皆にも渡したんだけど、お近付きの印に!!」
ズイッと差し出した菓子は、俺の手ごと会計に押し返された。
「ごめんねぇ、平凡君。俺は君と、お近付きするつもり無いから。それに、変な物入って無いとも限らないし、友達ごっこは余所でやって?」
緩やかな口調と目元に反し、会計の言葉は辛辣だった。
1番声をかけ易そうだって?
馬鹿か俺は!!
めっちゃ心抉られたわ!!
以来、俺が生徒会へ近付く事は一切無かった。
そしてこれは、後に知ったのだが、必要以上に生徒会、または学園内の人気者へ接触すれば、それぞれ持つ親衛隊に制裁を受けるらしい。
あの時は誰一人、俺にその事を教えてくれなかった。
それでもまぁ、不幸中の幸いと言うか、あまりに手酷くフラレた俺は、周囲の同情を買い、ケーキ効果も相まって、親衛隊の制裁は受けずに済んだ。
更には望み通り、平凡で平和な自分の居場所を手に入れた。
それだけで充分だよな、俺!!
×END
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