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ダルマッカ





サトシ達一行はシッポウシティに向かう途中にある街で昼食の準備をしている最中、二匹のダルマッカがピカチュウとキバゴのポケモンフードとお月見団子…基お月見木の実を持って何処かへ行ってしまった。

今は夕暮れ時。ダルマッカの攻撃で負傷したミジュマルを回復しにポケモンセンターに行た。


<♪〜>
おなじみの音がセンター内に響き渡った。ミジュマルの回復が終わったようだ。

「お預かりしたミジュマルは元気になりましたよ」
『タブンネー』

『ミッジュ〜』
「ありがとうございます!よかったなミジュマル!」
ミジュマルが無事回復したのは私も嬉しいけど…タブンネは一歩間違えればメンタル弱いトレーナーに精神的に大打撃を与えるのでは…


「それにしてもあのダルマッカ!頭にくるわね!」
と、アイリス。
その発言にジョーイさんはダルマッカという名詞に反応した。聞けば、この街にはいつも一緒の2体のダルマッカとヒヒダルマがいて、ある時から突然ダルマッカ達が食べ物を盗むようになったらしい。だが一つ疑問が浮かぶ
「盗みをしているのはダルマッカだけなんですか?」

ヒヒダルマは?
と聞くと
「いいえ、盗みを働くのはなぜかダルマッカ達だけなの…」
「僕たちも、食べ物を盗まれたんです」

「それを止めようとして…俺のミジュマルが」


そう、ミジュマルはダルマッカ達にダブルで火炎放射を浴びてしまったわけで。
「そうだったの…」



「あの子達…よっぽどお腹が空いてるのね…」
「だからって食べ物を盗むような子達じゃなかったのに…」



「でも前までは食べ物を盗むようなことなかったんでしょ?お腹が空いたってだけでいきなりこんなことするもんかな…」

(ヒヒダルマがいないっとことは何か病気とか…?)
私はわからないことをいつまでも考えるのはあまり好きではないが、なぜか私はヒヒダルマがいないのが気になってしょうがなかった。
私を含めみんながダルマッカ達の話題について考えていたがアイリスの一言によりそれが取り払われた。
アイリスが興味を示したのは街の中心に建つ古びた時計塔だった。しかし肝心の時計の針が動いてない。

「ああ、あの時計塔ね。
あれはこの街に古くからあるの。でも、建物も傷んで時計や鐘も動かなくなって…取り壊すことが決まったのよ」


「え…壊しちゃうんですか!?」
「ええ、」


「鐘や時計は補修とかすればまだ動くんじゃないんですか?街のシンボルって感じで素敵だと思うんですが…壊すなんてもったいないですよ」


「…、」
ジョーイさんは眉を下げて薄く笑った。しまった、困らせるつもりで言ったんじゃなかったのに…

<ぐうううう…>





「・・・」
この自重しない腹の音の発生源は…



「アハハ…ごめんごめん…オレお腹空いちゃってさ…」
サトシだった。ピカチュウの冷めた目に気づかないあたりがサトシらしいっちゃサトシらしい
私達はそのままポケモンセンターに泊まって晩御飯にすることにした。













今私の目の前には山盛りのコロッケが視界の3分の1をしめている。頬杖をついているためアイリスやサトシは向かいの席にいて顔がほとんど隠れて見えない。さすが育ち盛りの子どもというだけある、よく食べるよねーと呟いたらデントが同意するように
「この2人、結構似た者同士かも…」なんて言った。
「ハハ…そんなこと言ってると2人に叱られるよー?」

ま、否定はしないけどね?と、チラッと前の2人を見た。この会話はバッチリ聞かれてたらしい。思いっきり全否定された。しかし2人そろって言うところがまたそう思わせるよね、
私とデントは顔を見合わせて笑った。
するとそこでジョーイさんがお月見団子を食べないか、とその場の食堂にいた人達に提案してきた。サトシが率先して配ると立ち上がったので私もデントもアイリスも手伝うことにした。

ジョーイさんと私達は団子が置いてあるポケモンセンターの給湯室に向かった。だがそこにはお月見団子ではなく昼間に合ったダルマッカ達が今まさに団子を盗んでいるところだった
またか、と逃げるダルマッカ達を追いかけようとしたが片方のダルマッカが電子レンジの葢を踏み台にしたため開いた葢に思いっきり頭をぶつけてしまった。
我ながらアホすぎる、痛すぎて声にならなかった。
「〜〜〜〜ッ!!!」




とにかく痛い、しかも開いた勢いもあり結構ダメージがでかかった。
デントが「大丈夫かい!?」と慌てて声をかけてくれた。痛む頭を押さえて「気にしないで」と言ったら横で見ていたアイリスに「ハンナさんって結構ドジ…?」と言われた。あんまりだ。
その間にもサトシがが「待て、」と追いかけるも窓から逃げられてしまった
だがこんな時でも諦めないのがサトシ、マメパトをボールから出し、自身も窓から外に出てダルマッカ達が盗みを働く理由を突き止めてやる、と追いかけていってしまった。

残された私達は頷き、ダルマッカ達を追うことにした。

「リザードン!!」
相手は二匹、相棒に乗ってマメパトと空から追いかければ確実だろうと思い飛び立った。

予想は適中、ダルマッカたちはふたてに別れて逃げていった。マメパトはサトシ達のほうを、私とリザードンはデントが追う方を追っていった。だがやはり相手はポケモン。デントが徐々にダルマッカと引き離されていく。

しかし私はあることに気づいた。向かって行く先は街の中心…



古びた時計塔に向かっていた。
その時サトシ達が追っているダルマッカと私が追っていたダルマッカが落ち合った。
私と同じく追っていたマメパトもダルマッカの向かう先がわかったらしい、サトシ達を探すことにした。









「あいつら…どこ行ったんだ?」
探してからほんの少し、サトシの声が聞こえた場所に向かった
「サトシ!!」
「ハンナさん、マメパト!」

「ダルマッカ達は時計塔に向かったよ!!」
『クルックー』

街灯に止まったマメパトも時計塔に向かって羽を伸ばした。みんなが時計塔に視線を向けたちょうどその時、ダルマッカ達が盗んだ団子を持ったまま時計塔に入っていた

「いたぞ!!」
サトシの言葉が合図のように皆は時計塔に向かって走り出した。














所変わって夜霧が霞むとある石橋


黒服の三人組、ロケット団が橋の中心に佇んでいた。そこに女性特有のヒールの音を鳴らしながら向かってくる一人の同じく黒服の女性。手にはトランクを持っている

女は三人組を通り過ぎるその時立ち止まり、沈黙を破った。
「冷えますね」

「ええ、こんな夜は温かいカプチーノでも飲みたいわ」


決められた合言葉を言い終えると女の声音が下がった
「新しいアイテムだ」
同時に持っていたトランクを地面に置き
声の調子を変えぬまま、シッポウシティへ向かい、新たな指示を待てと言う。

トランクを取り、三人組は指令どおりシッポウシティへと向かった

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