「なあ623、今日は電波の日らしいぜぇ?」
黄色はいきなり言い出した。
「・・・なんで6月1日が電波の日なの?」
はっきり言って、日にちと電波の何処が関係しているのかが分からない。
黄色はくっくっと愉しそうに笑っていた。
「さあねぇ、だがそうらしいぜ?」
そう言ってくる黄色は相変わらずパソコンを弄っているし、俺は何をするでもなくただ黄色を見ている。所謂、何時もの光景だ。
だが、何時もと違うのはパソコンを弄っている時に黄色から話し掛けてきた事だろう。
何時もは話し掛けても生返事だったり、静かにしろと怒られたりするのに、黄色から話し掛けてくるなんて!
そりゃあ、悪巧みや悪戯をする時なんかは楽しそうに話し掛けてくるけど世間話なんて初めてで柄にもなく驚いてしまった。
「・・・そうなんだ。で、それがどうかしたの?」
そう尋ねると、黄色は少し不機嫌になったように眉間にシワを寄せた。
「あ!電波の日だからなんか悪戯するの?」
最近黄色と悪戯なんかしてないから、出来れば俺も混ざりたい。
そう言うと、黄色は益々不機嫌になったようだった。
「・・・お前、性格悪くなったかぁ?」
「あはっ」
君と居るお陰じゃないかな。
「それでも俺は敵わないと思うけど?」
にこり、と笑うと黄色はチッ、と舌打ちをした。
「つまんねぇなぁ、」
ふて腐れたように唇を尖らせる黄色が、少し可愛かった。
「それで?今日がどうしたの?」
促すように言ってやれば、黄色は露骨に嫌そうな顔をした。
「電波って聞いて、何か思い出さねぇかボケ芸能人」
「酷いなぁ、俺まだボケてないよ?」
黄色の嫌そうな顔に、俺は笑顔で返した。
「俺達の同盟の名前だね、『電波同盟』」
俺の答えに、黄色はニヤリと笑った。
「覚えてんじゃねぇか、電波っていやぁ俺達だろ?」
黄色は、綺麗に笑った。
「だから、今日は俺達の日だ」
その笑顔が何時もの厭味たらしいものじゃなくて、本当に綺麗な笑顔だったからかも知れない。分かっていた答えのはずなのに、ときめいてしまった。
「・・・やっぱり、俺より性格悪いじゃん」
ぼそり、と言った言葉は黄色に届いていたのだろうか。
「分かってて言わせるなんて、粋じゃねぇなぁ。そんな事じゃあモテねぇぜぇ?」
そう言ってくる黄色は、悪戯が上手くいった時の様に嬉しそうだった。
失礼な、これでもすごくモテてるんだよ、なんて言えなくて。
「言わせたかったんだよ」
黄色の口から、黄色の声で言ってほしかったんだ、なんて気障な言葉しか出なかった。
「で、俺様に言わせてみた感想は?」
「最高」
そう言って笑った。
「俺達の日は何をしたらいいのかな?」
そう黄色に問い掛けたら、黄色がパソコンを止めて俺の膝の上に座り、俺の首に腕を回してきた。
「取り敢えず、イチャイチャしてりゃあいいんじゃねぇの?」
軽く俺の頬に口づてくる黄色の耳がほんのり朱くなっていて、俺は黄色を強く抱きしめて。
「Yes,my dear」
口づけた。
妨害スプレッド
今日は特別だから、誰にも邪魔させない。