「何で悪は滅びるんだ?」
黄色はいきなり問い掛けた。
「悪が増えてしまうと世の中が混沌となってしまうからではありませんか?」
紫は微笑みながら答えた。
「殺人者や犯罪者だらけになってしまったら困りますからね」
黄色はふ〜ん、と呟いて作業に戻った。
「何で正義は必ず勝つんだ?」
特撮しかり、有名なパンしかり。
そんな事を、今度は優しい暗殺者に聞いてみた。
「夢を壊さないためじゃないかな」
ヒーローが負けてしまったら、夢がなくなってしまうからね。
そう言いながら、青は困った様に笑った。
そんなもんか、と黄色は思った。
「何で悪は悪いんだ?」
次は赤に聞いてみた。
「・・・人を苦しませるからではないのか?」
赤は少し考えてから答えた。
「じゃあ、何で正義は正しいんだ?」
今度は、赤の横にいた黒が答えた。
「人にとっていい事をするからじゃないですかぁ?」
あ、でも有難迷惑ってあるですけどアレはどっちなんでしょう?
そう言いながら、黒は首を傾げた。
黄色は眉間にシワを寄せた。
「悪と正義って何で分けてんだ?」
違う種族の親友に尋ねてみた。
「う〜ん、第三者から見て分けてるんじゃない?」
あと、時間的に後の人達から見てどうかとか?
親友は悩みながら答えた。
「俺達は悪なのか正義なのか、どっちなんだろうな」
初めに思った事を聞いてみた。
テレビでやってたドキュメンタリー。その中に勧善懲悪と云う言葉が出て来た。
悪は必ず滅びる、正義は必ず勝つ。言い回された言葉。
だが、自分達はどうなのだろうと思った。
悪なのか、正義なのか。
「どうだっていいじゃん、そんな事〜」
緑はただ楽しそうに笑った。
「悪とか正義とかはさぁ、どうせ当事者じゃない奴らが勝手に言ってるだけでしょお?正義だと思ってやったら悪だった〜とか、悪だったのにやったら正義になっちゃった〜とかよくあるじゃん。実際、我輩達だって故郷の星から見たら正義だけど、地球から見たら悪だしぃ。そんなモンだよ、悪か正義かなんて。そんな事考えてると、頭おかしくなっちゃうでありますよ〜ん」
ゲロゲロ笑う緑は、確かにどうでもよさそうだった。
あぁ、きっとこの緑は悪でも正義でもないんだろう。
ただ自分の信条に、気持ちに従って生きているのだろう。
黄色は、やっと理解して口の端を上げて笑った。
侵略するのは悪なのか。
侵略されるのを拒む為に戦うのは正義なのか。
そんな事はどうでもいい。
悩む必要なんか、なかった。
考える必要もない、悪も正義も関係ない。
ただ、己の信条を貫くまで。
英雄ジャッカー
俺達は侵略者。
正義面して悪役を演じてやるよ。