「旦那、ご飯粒付いてるよ」

「む、すまん」

佐助はそう言いながら幸村の頬に付いたご飯粒を取ってあげている。その様子に慶次はニコニコ笑い、政宗は睨み付けるように見ていた。

「ね、旦那。今日卵焼き上手くいったと思うんだけど、どう?」

「うむ、佐助の卵焼きはいつも旨いが今日は特別美味だな!」

「ホント?旦那にそう言ってもらえるだけで、頑張ったかいがあったよ〜」

まるで二人の周りに花が舞っているかの様な光景に、政宗がキレた。

「Annoying!うぜぇよお前ら!いちゃいちゃしやがってこっちの身にもなれってんだよぉ!!」

「なに伊達ちゃん、うるさいよ」

「そうでござるよ、政宗殿。食事中は静かにするのがマナーというやつでごさる」

「てめぇにだけはmannerとか言われたくねぇんだよ!」

言い合う様子を慶次はニコニコ笑いながら見る。いいねぇ、青春だねぇ。

ちなみに政宗、佐助、幸村、慶次の四人は屋上でご飯を食べているから、周りには迷惑をかけていない。これが教室だったら、お前ら全員静かにしろよとか毎回いちゃつくなようざいとか伊達も大人になれよ慶次止めろよとか、教室内の生徒は心の中でツッコミ、あるいは怒りに声を上げているだろう。

「だいたいなんでお前は俺と佐助の真ん中に座ってんだよ!」

「佐助の横はそれがしのものと決まっているゆえ」

「Shut up!!いつ決まったそんなもん!」

「いつと言われましても、昔からそうなので」

「ねー、旦那」

「ねー、じゃねぇ!どけ真田」

「嫌でごさる」

「なんでだ!」

「それがし、佐助と政宗殿の仲を認めてなどいないので」

「Bullshit!!」

政宗と幸村が睨み合う。背後に竜と虎が見えるのは気のせいかな、と思いながら、慶次はご飯を食べた。

「佐助も真田にベタベタしすぎなんだよ!恋人である俺とガキなこいつ、どっちが大切なんだ!」

「え、旦那」

あっさりと返されてしまった政宗は天を見上げ、「No、」と小さく嘆いた。少し涙目なのは見間違いだろうか。

「ていうかさぁ、『私と仕事どっちが大事なの』みたいな質問とかマジバックドロップしたくなるよね」

「それがしエルボーを顔面に叩き込みたくなりましたぞ、政宗殿」

「佐助、Come on!真田死ね」

「ちょ、マジ引くんだけど」

「はは、政宗殿死んでくださらぬか」

二人に責められて、政宗はキレた。マジ真田さえいなければ今頃俺と佐助でラブラブLunch time。ほら政宗あーん、美味しい?政宗の為に作ったんだよ、やだ政宗そんなに褒めないでよ、ん、食べさせてくれんの?あーん、うん政宗のも美味しいよ、政宗が食べさせてくれたからかな、余計に美味しい気がする。

「ってな感じを夢見てたのによぉお!!」

「なに伊達ちゃん、いきなり叫んで。はい旦那あーん」

「あー、ん、旨いな。・・・そうでござるよ政宗殿、驚くではございませんか」

「てめぇらが何やってんだよ!」

夢見た事が現実になっていた。それも相手が幸村で。
幸村は平然といつもの事ですぞと言い、佐助は何?変な事でもしましたか?と言う顔をしていた。

「Ha、いつもの事だと?てめぇ真田覚悟はいいな」

「・・・何を怒っているのか分かりませぬが、政宗殿がやる気ならこの幸村お相手致す」

「・・・そうこなくちゃなぁ」

政宗がゆらりと立ち上がる。その手には割り箸が握られていた。

「いざ、尋常に」

幸村がしっかり政宗を見据えながら言う。両手に自前の箸があった。

「Let's party!」

「参る!」

箸で戦い始めた二人を見ながら、佐助と慶次がのほほんとご飯を食べていた。

「あーん。ん!旨いねこれ」

「ホント?ありがとー」

慶次は佐助に食べさせて貰った卵焼きに感激しながら、佐助にまつ特製の卵焼きを食べさせてあげた。

「ん、美味しい。さすがまつ姉さん。今度また料理教えて貰おうかなぁ」

「お!いいねぇ、まつ姉ちゃんも喜ぶよ!」

等と話していると、少し離れた所からバーン、ガシャーンと音が聞こえてきた。大方、戦いで壁やフェンスにでもあたっているのだろう。

「ていうかさぁ、佐助もうちょっと政宗に愛情見せてあげなよ〜」

「見せてるよー?相手が気付かないだけー」

そう言う佐助は戦っている政宗を見ながら笑っていた。

「それにね、」

笑いながら、佐助は慶次を見た。

「嫉妬してくれる程俺の事好きなんだって分かると、嬉しいでしょ?」

そう言って笑う佐助は、幸せそうだった。

小悪魔ちゃんに惚れた政宗は大変だ、と思いながら、慶次はふ〜んと言ってご飯を食べた。






壮絶ハードシップ



愛が足りねぇ!



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