上田城。
居るはずのない人物が声を張り上げた。



「Open gates!奥州筆頭伊達政宗が来たぜ!」

「ちょっとあんた何してんの」

「Hey,猿!真田は何処にいる」

「俺様さっきまで出掛けてたからねぇ。あんたの声で気付いたんじゃない?」

「Ha!相変わらずムカつく野郎だな。いいから呼んでこいよ」

「あんたにだけは指図されたくないね」

「忍風情が生意気言いやがって」

「忍風情でもえり好みはするんだよ」

「上等だ!真田の前にてめぇを蹴散らしてやるよ!」

「止めときな、忍風情に負けたくないだろ?」

「・・・何を騒いでおるのだ」

「Nice timing!真田幸村!」

「政宗殿!こんな所までお越し下さるとは如何なされました!」

「勿論手合わせに決まってるだろ!」

「そんな事の為に奥州からわざわざ甲斐まで来るなんてねぇ」

「Shut up!てめぇには用がねぇんだよ、猿」

「用がないなら俺様の前から消えて欲しいね」

「佐助!わざわざ来て下さったのだ。そう邪険にしなくともよいであろう」

「元々俺様はこれが嫌いだからね。来てくれたとか迷惑としか思えないんだけど、まぁ旦那がそう言うならしょうがないねぇ・・・お茶はスイセンでいいかい?」

「スイセンって毒持ってんだろうが!」

「あ〜らら、知ってたの。じゃあ花キリンね。いやぁこの間貰っといてよかったよ」

「致死毒に上がってんじゃねぇか!てめぇの茶なんか要らねぇんだよ、それよりも真田幸村ァ!勝負だ勝負!」

「・・・そのように急がなくとも、某は何時でもお相手致しましょう。せっかく遠くから来て頂いたのです、先ず茶でも飲んで一息ついたら如何でござりましょう」

「は?」

「政宗殿も長旅お疲れでしょう。上手い菓子を用意させまする故、ゆっくりしていって下され。丁度庭が綺麗な頃合いでごさりまする」

「おい猿!真田が壊れてるぞ!?」

「さっきから変だとは思ってたけど・・・旦那何か変な物食べた?」

「いや、普段通り朝餉と昼餉を食べただけだが」

「大丈夫か!?お前手合わせっつったらすぐに突っ込んで来るじゃねぇか!」

「確かに・・・。しかし今朝起きてから、妙に心が穏やかなのでござる。思い返すと、某は何時も急ぎ過ぎていたのでござろう、人間そこまで急がずとも良いと分かった所存でごさりまする」

「悟っちゃったんだねぇ」

「何感心してやがんだ!てめぇ、こんな主でいいのか!?」

「いいんじゃない?無茶な命令しなさそうだし、暑苦しくないし」

「てめぇは主をそんな風に思ってたのかよ!」

「煩いなぁ、いいじゃん旦那がこう言ってんだから」

「そうでござるよ。そんなに叫ばれては喉を痛めまする、ささ、中に入って休んで下され」

「気持ち悪い!こんなの真田じゃねぇ!てめぇ何とかしろよぉ!」

「俺様別に構わないしぃ?むしろあんたの嫌がる顔見れて清々するしぃ?」

「何時か殺す!」

「あは、そうだねぇ出来るといいね」

「さ、何時までもそんな所に居ずに中へ。佐助、茶を用意してくれ」

「はいは〜い」

「おい俺をこいつと二人きりにする気か!?」

「大丈夫だからねー」

「大丈夫じゃねぇんだよぉ!!」

「もう、ほんとマーくんは我が儘なんだから〜」

「政宗殿は何時も元気でごさりまするな」

「てめぇら黙れぇえ!!」






如実フィクション



結局手合わせは出来ませんでした。



















――――――――――

史実の幸村(信繁さん)は落ち着いていて辛抱強く、滅多に怒らない人らしいと小耳に挟んだのでカッとなって書きました。
こんな幸村もいいんじゃないでしょうか?

BASARAに忠実寄りな政宗と佐助くんと180度反対の幸村さん。



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