クルルと付き合い始めて1週間。
あのツンとからかいしかなかったクルルも、最近になってやっとデレを見せてくれるようになった。
とは言っても、我輩の近くに座ったり離れようとした時に腕を掴んでくるぐらいだが、あのクルルがしていると思うと頬が緩む。ああ、なんて可愛いんだろう!
今日も我輩はルンルンとした気持ちでクルルの横に座りガンプラ製作に励む。

「たいちょー、暇なのかぁ?」

パソコンに向かっていたクルルは、ガンプラ製作に夢中になっている我輩を見てそんな事を言ってきた。口調はきついが、表情は柔らかい。誰が見ても照れ隠しのそれに、我輩の表情も緩みっぱなしだ。本当に可愛い。

「んー、だってクルルの横でガンプラ作んのって最高なんだもーん。邪魔だった?」

わざとらしく拗ねたように言えば、クルルはいつもの嫌味たらしい笑みではない楽しそうな笑みを浮かべた。

「邪魔な訳ねぇだろ」

あらら、やけに素直だこと。
予想もしてなかったクルルの返答に、我輩は思わず口を開けてクルルを見てしまった。
そんな我輩を見て、クルルはパソコンを閉じて少し空いていた距離を詰めてくる。

「たいちょー、俺は思ってるよりあんたのこと好きなんだぜぇ?」

我輩にくっつく程近付いたクルルは、我輩の首に腕を回して本当にくっついてきた。

「今日は甘えたの日なんでありますか?」

明日は槍でも降るんじゃないかと笑いながら言えば、クルルも降ったら面白いだろうなぁ、と笑いながら応える。

「てか、クルルってそんなに我輩のこと好きだったんでありますなぁ」

付き合う前なんてからかわれて弄り倒されてたし、告白の時なんて付き合ってくれと言ったら生返事だった。
確かに最近はデレを見せてくれるようになったが、好きなんて今初めて言われたのだ。
いきなりの展開すぎて、頭は混乱極まって逆に落ち着いてしまった。そうか、クルルは我輩が好きなのか。
沁々とそう思えば、クルルは身体を少し離して我輩の顔を覗きこんだ。

「まあな、言わなかったが告白された時なんてすげぇ嬉しかったんだぜ〜?」

「マジすか・・・」

全然分からなかった。クルルってすごいな。
そんなことを考えながら、クルルの綺麗な顔を見詰める。あれ、これっていい雰囲気じゃない?

「マジマジ。俺、隊長のこと愛してるからなぁ」

「へ?」

「ん?聞こえなかったかぁ?俺は隊長のこと愛してるぜ」

明日はきっとロンギヌスの槍が降ってくる。
って、そんなことはよくて!今最高にいい雰囲気だよね!このままチューとか出来る雰囲気だよね!

「我輩もっ」

「だからなぁ」

愛してる!と言おうとしたところで、クルルの言葉に遮られる。
出鼻を挫かれた思いでクルルを見ると、クルルは綺麗に、だけどどこか妖しく笑っていた。

「こんなもんが隊長の気を引いてるのが許せねぇんだよ」

そう言って、クルルは我輩が持っていた製作途中のガンプラを取り上げ胴体を真っ二つにして遠くへ放り投げた。

「え、ちょ、クルル?」

まさかの行動に、落ち着いたはずの頭がまた混乱する。ガンプラの壊れた音が遠くから小さく聞こえた。
混乱している我輩を余所に、クルルは我輩の身体をまさぐる。そして目当ての物を見つけたらしく、にっこりと笑った。

「これも邪魔」

「あ、」

クルルの手にはケロンスター。隊長の証といわれている隊で行動するのに必要で、本部との連絡にも使われているそれはとても重要なものだ。
そんなケロンスターの重さを確かめるように持っていたクルルは、我輩が止める暇もなく持っていた物を壁へと投げつけた。
ケロンスターは綺麗な放物線を描き壁に到着し、耳障りな音を立てて中身をぶちまけた。
それを目で確認し、我輩は壊した張本人へと視線を戻す。

「これで邪魔するやつはなくなったなぁ」

俺と隊長の時間を邪魔するなんて許せねぇもんな、とクルルは笑う。その表情は本当に満足そうで、とても嬉しそうだった。
ひゅ、と喉が鳴る。
壊したことなんて何にも思ってなくて、クルルはただ普通に我輩との時間を喜んでいる。その姿に、何故だか目眩を覚えた。

「愛してるぜ、隊長」

クルルが今日一番の綺麗な笑顔を浮かべて我輩に抱きついてくる。
我輩は先程クルルに遮られた言葉を口にすることが出来なかった。






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